去年の春に出逢った。
梅雨前の雨の日に傘をもらった。
夏直前に海に誘われて少し近づけた。
夏が終わるころにはこれは恋だと自覚した。
秋が来て
秋が過ぎて
冬が来て
もうすぐ冬を終える
春になる前のまだ寒い日
昨日俺は月代に好きだと告げた。
『・・・・・・好きって、俺と付き合いたいってこと?』
月代はそう返した。
それを俺は否定した。
そういう意味ではないととれる言い方で。
だから月代はノーともイエスとも言わなかった。
ただ受け流したり茶化したりもせず『ありがとう』と言った。
その言葉は嬉しくもあり
その返事は寂しくもあった。
わかっている。
俺は最後の最後で意気地が無い。
なんともいえない思いのまま登校した。
昨日の不在が嘘であったように月代がいた。
いつもどおり「おはよう」と彼の声が俺に笑った。
この時は正直、変わらない日常光景に安堵した。
いつもと変わらない日常光景?
ふと振り向くと月代と目が合う。
月代が俺を見ていたのがわかる。
そういう瞬間が今日は何度かあった。
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