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楠木日記

今朝、目が覚めたら目元から水がこぼれた。涙だった。
懐かしい夢を見た。ありし日の遙さんの夢だった。
月代が買出しかなんかに行ってて
俺と遙さんで留守番してた時の
俺と遙さんとで交わした会話。
今頃思い出すなんて不思議だな。
ここに書きとめて置いて次に月代に逢った時に話そうと思う。

「楠木君。」
「はい。」
「君は白雨に怒られたことはある?」
「ある、と、思います。」
怒鳴られて、他の誰かだったら殴ってた。と言われた。
「そうか、あるか。
 君は白雨にとって大事な存在なんだね。」
そう言って遥さんは笑った。
「大事な?」
「そう。白雨ってさ、小学校にあがるまでただの一度も
 怒ったことがないんだ。怒るって感情が解らなかったと言うべきか。」
怒ったこと、が、ない?
感情が、解ら、ない?
俺は、言い返したりはしなかったけど、
園の理不尽な先輩には正直腹が立っていた。
自分の不甲斐無さには今でも苛立っている。
怒ったことがない、とは、どういう意味だ?

「そ、れは感、情、の」
ことであって他人には解らないことなんじゃないだろうか?と
続けようとした言葉を察したように遥さんは小さく首を振った。
「あいつは怒るより先に委縮することを覚えてしまったんだよな。
 それが身を守る方法だったんだからしかたなかったのかもしれない。
 怒られることはあっても怒ることは知らない。ただ怒られないように、
 萎縮して、人と接することから上手く逃げる術をあみだした子供だったよ。
 小学校にあがるまで。俺と再会するまで。ずっと、ね。」
身を守る術。と聞いてなるほど俺も同じだったな、と思った。
誰かに、怒られることはなかったけれど、構われることもなかった。

「遥さんと、再会、するま、で?」
「うん。初めて逢った時からちっせえくせに怯えて生きてんなって思った。
 再会してその理由が解った。こいつ怒ったことねーんだなって。」
「怒った、こと」
「何しても何されても怒んねーの。あんまりに怒んねーから
 怒れ!って怒鳴ったら、ごめんなさい。だって。重症だろ?」
いきなり怒れと言われても怒れるものじゃないと思うけど
なんかそう言うこと言っちゃう遥さんは遥さんらしいと思う。

「どーしよーもねーからひとつひとつ教え込んだね。俺は。
 こういう時は怒れ。こういう時は怒鳴れ。ひとつひとつだぞ。」
「ふふ。」
想像したらなんて滑稽で暖かい光景なんだろう。
「んで、仕上げはマジで白雨が嫌がることしたわけ、
 怒ったら卒業って濃厚キッスをさあ、」
「の・・」
「したらさ、遥!って怖い顔して怒鳴った後、
 ありがとうってちょっと泣いてやんの。ったくよー。」
「ふふ。」
やっぱり暖かくて優しい光景しか浮かばない。

「遥の教え通り怒ってたら相当短気な人間になっちゃうよ。
 ってな。いーんだよ。今まで怒らなかった分怒ればさー。
 白雨も、楠木君も、だ。」
え?俺?そこに突然俺の名前が挙がったからびっくりした。
「君も怒るべき時に怒ってないって感じがするよ。
 何にでもかんでも怒る必要はないけど、理不尽な時は怒るんだぞ。
 じゃないと誰にも何にも伝わらない。嬉しいことも悲しいことも伝えなきゃだ。」
遥さんはやっぱりすごい。
大きくて尊敬できる人生の先輩だ。
「はい。」
「だからさ、俺が怒れない時、白雨がバカやったら、
 怒ってやってくれよな、楠木君。」
「はい。」

今思うと未来を案じたような言葉だった。

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