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試験明けだと言うのに、
否、試験明けだから、か。
生徒会の仕事がたまっていて片付けていたら遅くなってしまった。
外はすでに暗闇に包まれていて一雨来そうな雨雲が広がっている。
駅に向かう人ごみの中で見間違えたのかと思う姿が目に止まった。
月代。
時計を見ると9時を回っている。
こんな時間にこんな場所で月代に出会うなんて。
声を掛けようかと迷っているとその横に誰かが見えた。
制服から見るに他校の男子生徒。見覚えは当然、無い。
結局声を掛けそびれたのはその二人の親しげな光景に、
校内外で見た遠くに感じる月代の姿に胸が軋んだから。

『鍋、after』

「はよー、上杉。」
週末を終えて登校したら隣の席の月代が挨拶をくれた。
「おはよう。」
よかった。いつもの月代だ。
駅で見た月代が頭を離れないままに過ごした休日は
少しばかり憂鬱で少しばかり気が塞いでしまった。
駅で見かけた話をしようか、と迷っているとタイミングを失ってしまった。
俺はどうしていつもこうなんだろう。とため息がこぼれる。
「月代うんこ~。」
「朝から随分低レベルな発言だなっバカ水品。」
「うっせぇ、うんこ。」
「なんでうんこなんだよ!」
「便秘なんじゃない?おはよ、つっきー。」
「はよっ、古泉。」
「便秘じゃねーよっ!つーかおまえら親しげだなっ!」
「意味解んないよこの子。」
「いつものことじゃない。」
「解れよ!なんで俺だけ隔離されてたんだ!」
「自分だけベットで寝てたんだからいいじゃないよ。」
「えー?ああ、金曜の夜?」
金曜の夜?と言えばあの日だ。
でもあの日俺が見たのは、月代と居たのは水品でも古泉でもなかった。
聴き耳はよくない、とは思うのだがどうしても耳に入るし気になってしまう。
「だから!楠木は?」
「楠木は帰ったじゃんか、覚えてねぇの?」
「まあ、信じられない!」
「うう、そういえば、それは覚えてるかも、だけど。」
楠木?名前だろうか?
「だーっ、もう、なんで寄り添って寝てんだよっ!」
「話し込んでたらいつの間にか寝てただけだって。」
「やっぱ水品はくだらないことしか言わないなぁ。」
「なんだとっ!月代~!」
水品がオーバーリアクションを取ったせいで俺の机にぶち当たった。
「うわ~水品っ!人に迷惑かけんなよ。
 ごめんな上杉!どっかぶつけなかった?」
水品の行動を月代が謝った。
「いや、大丈夫。」
「ったく、水品は仕方ないな。
 隣で煩くしてごめんね。」
古泉にも謝られた。
「ごめん。」
最後に水品がぺこりと頭を下げた。
やはり俺はこの三人を見ているのが楽しい。
妙に同調していて息が合っていて他の誰かじゃこうはいかないだろう。もちろん俺も。
それでいいと思うけれど水品がくれたきっかけを機に今は話に加わらせてもらおうと思った。
「いや、それよりその、金曜に、」
「え?金曜?」
「駅で見かけたんだ、月代と、他校の、」
「ああ。マジ?声掛けてくれたらよかったのに。」
声をかけて良かったのだと月代が笑った。
俺はいつも考え過ぎて遠回りしているようだ。
「何?楠木、駅に送った時?」
「でもそれ結構遅い時間じゃなかった?」
「生徒会の仕事が長引いてしまって。」
「んな時間までやってんの~。すげ~。」
水品が返すその横で、月代が済まなそうに笑った。
俺が月代の代わりに答辞を読んだ流れで生徒会の仕事も引き受ける流れになった過程がある。
だからなのか責任を感じているように気遣った言葉をくれたり、する。
責任を感じて、なのだけど、それを凄く嬉しいと思うのは確かだ。
「いや。翌日が休みだからつい、やりすぎてしまっただけで。」
「そんでもお疲れさんだよな。」
今度は月代がにっかりと笑った。
「駅に送ったとこだったんだよ、俺の中学んときの友人。
 古泉んちで鍋してさ、そん帰り。俺と水品は泊まったんだけどな。」
実に簡潔に解り易い説明もくれた。
解り易くはあったけれど、遠いな、と改めて思った。
「声掛けてくれれば、上杉も誘えたのにな。」
「鍋は人数多い方が楽しいしね。」
「古泉の鍋すっげ、美味いんだぜ。」
俺でも誘ったと月代が言う。
俺でも人数に入れてくれたと古泉が言う。
俺でも全然構わなかったように水品が言う。
「声、掛ければよかったな。」
少し笑ったら、
「だな!」
と月代が笑った。
月代の友人。
月代と水品と古泉。
俺がいたら邪魔になりそうなのに
こんなに簡単に誘ってくれると言う。
俺は本当に遠慮すべきだと思うのに
月代がいるから、
月代が誰ともいない図書室で俺だけに二人の時間をくれたりするから、
甘い誘惑に甘えたくなってしまう。
チャイムが鳴って古泉や水品が自分の席に戻り始めた
どたどたと慌ただしい教室の中で月代が俺の肩を叩いた。
「上杉は何鍋が好き?」
至極当たり前のような言葉。
「鳥鍋、か、な。」
鍋にはどれだけ種類があるのかよく解らないなりに答えると
「こいずみー!次は鳥鍋なー!」
自分の席に着いた古泉に月代が叫んだ。
こういう月代にいつも何か暖かいものを感じる。
気持が高揚して頬が熱くなる。
「な。」
と、にっかり笑う月代。
俺の顔は嬉しさにきっとほころんでいることだろう。

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