
例の用事で理事室を訪ねてから
できるだけ人に見つかんねーように裏を通って戻る途中、
告白されているらしい上杉と告白してるらしい1女生徒を見た。
「上杉モテんだろ?
ヤキモチとか妬かねーの?」
とか水品が言ってたのを思い出した。
妬いてどうなるもんでもないしな。
上杉がモテんのもわかるしな。
そんなこと言ってられるのも、
上杉は断ってくれるんだろうと思えるからだ。
断らなかったら、承諾したら、妬くに決まってる。
「俺には想う人がいる。すまない。」
聞き耳立てる気はなかったけど上杉の声が聞こえた。
話は早く終わりそうだしここ通らなきゃ戻れないから待つ。
「どんな人?」
意外にもまだ話は続きそうだ。
自分の好きな人の好きな人って気になるもんなんだな。
そういや遥に彼女できたとき俺もちょっと妬いたし気になったもんな。
なんてことを考えながら腕を頭の後ろで組んで後ろの壁にもたれた。
「ずっと片思いだった。
今も、俺の方が想っていると思うし、
それが俺の誇りで生きがいでもある。
そう思わせてくれる人、だ。」
うわあ。
ちょっと、上杉。
「随分な思い入れね。」
「ああ。」
「それだけの価値がある相手ってこと?」
「ああ。もちろんだ。」
「・・・ぷっ。」
「?」
「真面目な顔してそこまで断言されると
あきらめるしかないなあ。
私、上杉くんのクールそうなトコ好きだったんだけど
そういうとこもなんか好き。こっちは恋愛対象じゃなくて。」
「?」
「振られてくれるまでおとなしく待ちます。
告白、聞いてくれてありがとう。
委員会仲間としてこれからもよろしく。」
「ああ、よろしく頼む。」
「じゃ。」
「ああ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・誰が振るかよ!
つーか、ますます好きになったっつーの!
上杉、なんなのこの人。ほんとなんなの。
毎日、意識する度、魅かれて、好きんなってんのは俺だ。
だからあんま、好かれてる自信ないとか言うなよ。
俺がへこむから。
PR