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感情がないわけじゃない。
感情を動かしたくないだけ。
一度感情が揺れてしまうと、
そこになんらかの気持ちが生まれるから。

いばしょとして求めないところに
よけいな思い入れなんか持ちたくないんだ。

たのむよ。放っておいてくれ。

『虚像2』

ああ、こいつもここにいるってことは
学校関連者の類なのか。

「ハクウ!ハクウ!」
うるさいなあ。
嫌いなら人の名前連呼するなよ。
「なんなの?」
面倒くさそうに返事をしたら
「俺を無視するな!」
とか言うんですけど。なんなんだ。
「なに?なんか用?」
「用なんかあるか!」
うわ。水品より意味不明だ。
水品のはなんか可愛げがあって構いたい感じだったけど
こいつのはなんかもうただひたすら面倒くさい感じだ。
「そんじゃ行くから。」
「待てよ!」
なんなんだよ。ほんと。
振り向いてじっと見たら、
「なんだ!?」だって。それこっちのセリフ。

「なんもねーよ。」
「・・・っ!」
もう構うのをやめて書斎に向かうことにする。
書斎とは名ばかりで図書室みたいなんだけど
学校とは違うから置いてあるソファーや長椅子が座り心地がよくて好きなんだ。
遥なんか読みながら長椅子でそのまま朝まで寝ちゃうことがよくあったのを思い出す。

本が焼けないために地下に造られたこの部屋は静かでほの暗くて
別世界に迷い込んだ雰囲気がある。
そこで空想の世界だったり、仮想の未来なんかが書かれた本を読む。
集中して読み始めると2時間3時間なんか軽く過ぎていたりする。

読み始めてどのくらいしただろう。
ふと人の気配を感じて本から視線をあげた。

またおまえか。

「いっつも本読んでるな。」
「それが?」
「・・・っ!
 おまえ性格悪いだろ!」
「知らねえよ。」
「なんか・・・雰囲気変わったな。
 前はもっとヤワな感じだったのに。」
一度本に落とした視線をもう一度あげてドア付近に立っている男を見る。
知り合い、か?
学校関係者ってことは親戚とまでは行かないまでも
父の仕事関連に携わる人の関係者なのは確かなんだろう。
だとしたらどっかで逢っていてもおかしくないし可能性も高い。
が、覚えがない。
「逢ったことあんの?俺と?」
「覚えてないのか!」
「・・・ない。」
嫌いだっつーから好都合だと構わないつもりでいたのに
追いかけてくるわ、人の名前連呼するわ、仕方ないから観念してみる。

「俺、君になにかした?」
「・・・してない・・・けど。」
じゃあなんなんだ。
「してないからむかつくんだろ。」
知らねえよ。
「いっつもぬくぬく守られて当然って顔してんのがむかつくんだよ!」
知らねえよ。
「あのさあ、
 俺のなにを知ってるんだか解んねーけど
 なんかあって嫌いになったんなら・・・」
「なんだよ!」
「もう俺に構うなよ。」
ぱたんと本を閉じて立ち上がる。
カフェに寄って夕飯受け取って部屋で食うかな。
なんとなくだけどカフェで食うとこいつも来そうな気がする。
書斎を出るときに「逃げんのか!」とか言ってたのが聞こえた気がするけど、
・・・気にしない。

カフェの厨房に懐かしい人がいた。
「刀祢さんこんにちは。」
「ああ、白雨くん。
 今年も来たんだね。」
「はい。今日からここに?」
「うん。
 今日から入れ替わりでね。
 私がカフェを担当するよ。よろしくね。」
「はい。久々に逢えて嬉しいです。」
「私もだよ。少し大人びたね。」
「そうですか?」
「うん。背も伸びたみたいだ。
 でも相変わらず痩せてる。ひょろひょろだぞ。
 しっかり食べてもらわないとな。」
「ははっ。今日は何ですか?」
「ビーフシチューとシーザサラダ。
 それにドリンクはダージリンティーなんかどうだい?」
「いいですね。美味しそうです。」
「おかわりたくさんあるからね。」
「はい。」
部屋で食べようと思っていたけれど
久々に逢えた刀祢さんの存在が嬉しくて
やっぱりここで食べようかな。おかわりもしたいしな。なんて思っていたら、
案の定カフェの入り口付近にいたあいつと目が合った。なんなんだよ全く。
目は合ったけど今度は寄っても来なくてそのまま立ち去ったみたいだった。

「構うなって言ったのが効いたかな?」
「なあに?」
刀祢さんが厨房から出てきて俺の前にトレイを置いた。
それからもう一度厨房に引き返してもう一つトレイを持って俺の横に座った。
「刀祢さんも食事?」
「うん。誰か来たらすぐ出せる状態だし
 まあそうそう来るほど人もいないし
 折角だから白雨くんとご一緒させてもらおうかと思ってね。いいかな?」
「もちろんです。
 刀祢さん、ここ今どれくらい人いるんですか?」
「サマースクール期間まるまる全部受講する人ってそういないし
 ここは特別宿舎だからね。入れ替わり立ち替わりしてるけれど
 私と君を入れてだいたい7、8人ってところかな。
 うん。今日は7人だったかな。」
「そうですか。」
「君がそんなこと聞くなんて珍しいね。」
「そうかもしれないですね。
 いつもはそういうの遥が把握してたりしたので。
 それに俺は別に・・・」
「他人なんか眼中になかった、かな?」
「まあ、そうかもしれないです。」
「遥くんしか見てない感じだったからなあ。
 本読んで遥くんを追って遥くんを慕って
 そんな感じだったね。」
「なんか俺、うざいですね。」
「いやいや、遥くんがこれまた嬉しそうでね。
 君らの仲の良さはほんと笑っちゃうくらい微笑ましかったよ。」
「そうですかね。」
「うん。羨ましいほどだったよ。」
「羨ましい?」
「サマースクールに自宅から通う子たちは別としてね、
 ここに泊るような子たちは恵まれてる部分は多いけれど
 欠けてる部分も少なからずあるんだよね。
 それが愛情だったり感情だったり大切なものが、ね。」
「ああ、少し解ります。」
俺には遥がいたから。
俺には遥が与えてくれた欠片だ。

刀弥さんはサマースクールが始まるとここで
厨房を担当したり宿舎の管理をしている人だ。
俺も遥も刀弥さんとはここで知り合った。
ずっと年上で気さくで気の利く優しい大人だ。
遥がいなくてもそんなに躊躇なくここへ来れたのは
この人がいると思い込んでいたからかもしれない。
初日は挨拶に行った先にこの人が居なかったことに落胆した。
今日からこの人が居ることが実はすごく、かなり、俺は嬉しい。

「ああ、デザートも食べるかい?
 フルーツゼリーを作ってみたんだ。」
「頂きます。
 それとシチュー美味しかったですごちそうさまでした。」
「そういってもらえると嬉しいよ。」
刀弥さんはふんわりと笑うと空になった皿とトレイを持って厨房へ入った。
「さて、私はそろそろ洗い物と片付けに入らないといけないから
 この辺で失礼するよ。ゼリーゆっくり味わってね。」
「はい。」
「あ、それと白雨くん。」
「はい?」
「あそこにいる彼、さっき食事した時にはまだ
 ゼリーが固まりきる前だったから出してあげれなかったんですよ。
 彼にもこれ、渡してあげてくれませんか?」
俺のと、その彼というのの2つ分のゼリーを受け取って
彼、の居る方向を見たら、うんまあ、彼が居た。

「デザートだって。」
彼の前に置いて離れたところで食べ始める。
さすが刀弥さん。デザートも美味いや。
「ゴチソウサマ。」
と手を合わせてカップを捨ててスプーンを返して食堂を出ようとしたとき
目に入った彼は、固まったようにスプーンを握り締めてゼリーを見てた。
ほんとよく解んないやつ。



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