july,25
Dear 紗羅
約束をしたので手紙を書きます。
手書きの手紙ってなんだか少し
気持ちが引き締まる感じがするよ。
それに、紗羅にあてる手紙だがら、
嘘も飾りもなく俺の今を書くよ。
まず結論から。
俺、ここに残ってよかったよ。
俺がここに残りたいって言ったとき
誰もが反対してその中でも一番反対したのは紗羅だったね。
それから考え直して一番に俺の擁護してくれたのも紗羅だった。
紗羅の心境にどんな変化があったのか俺は考える余裕もなくて
ただすごく感謝したんだ。今もすごく感謝してる。
紗羅、ありがとう。
遥がいない絶望は俺を空白にした。
けれどそのまま立ち止まっていられるほど
世界は俺を置き去りにしないでいてくれたみたい。
こっちに残る条件も
新しく始まった高校生活も
俺が何をするべきかの指針をくれた。
あれからまだたった半年しか経ってないんだけど
本当にいろんなことがあって俺は今、笑えてるよ。
バカバカしいことを言って笑い合う友人もいるし
いかに今まで遥に頼り切った子供だったのか分かることもできた。
ああ、もちろん今もまだ一人じゃ何もできない子供だってのも分かってる。
ただ、そういうことに気づいただけ大人になったかな。
おとといから夏休み、サマーバケーションに入りました。
俺は一応学校経営者なので(笑)やることはたくさんあります。
放っておけない危なっかしい友人や居場所もいくつかあります。
だから今年の夏はそっちに行けないや。
と、言うのは建前でまだちょっとそっちに行くのは怖いです。
この手紙も強がったことを書いたかなと思うくらいに
俺の中の遥は偉大で絶大で俺の全てだから
実はまだぐらつく足元で生きています。
薄情を承知でもう少し時間をください。
来年の夏はきっと。
そのときは遥の眠る場所を教えてください。
親愛なる紗羅、今日も明日も美しく元気で
From月代白雨
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