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「こないだの図書室の違和感、 これだったよ」 珍しく月代に声を掛けられたかと思うと その手の中の携帯画面を見せられた。 その画面の中には俺と月代が並んで映っていた。 「これは・・・」 「いつの間にって話だよなぁ 折角だからもらったけど」 もらったけど? 女子にもらtったのだろうか? 月代が?わざわざ?まさか。 「だ、誰にこれを?」 「古泉。 古泉部活動で女子と接点あるから 撮った子本人じゃないから誰が撮ったのかは 解んねーけど」 「そうか」 隠し撮りをされたことはこれまでもあった。 露骨にカメラを向けられることもある。 頼まれて撮られることもある。 けれど、 月代と一緒に写った写真。 俺にとってトクベツでないわけがない。 その写真を月代が持っているならなおさらだ。 「いる?」 「え?」 「この写真いるなら送るけど?」 「いいのか?」 「だって上杉も映ってるし」 と笑う。 「じゃ送る。 って俺上杉のアドレス知らなかった。 教えてもらってもイイ?」 「ああ、もちろんだ」 驚いた展開になってきた。 月代と映った写真がもらえるだけじゃなく 月代と電話番号やアドレス交換までしている。 思えば何かが変らないかと月代に声を掛けた ”図書委員、付き合ってもいいか?” あの一言から何かが変ったのかもしれない。 どんなに望みのない想いでも少しは報われるのか。 「ありがとう」 受信したメールに添付された写真を見て言うと 「うん、上杉笑うじゃん」 と月代が笑った。 「笑う?」 「ああ、ううん。 上杉はクールなイメージなんだってさ。女子の間で」 「そうなのか」 「俺はちょっと違うけどなー」 「え?」 「こういうピントが微妙な隠し撮りじゃなくてさ 一緒に撮んね?」 月代が携帯をいじって写真撮影設定に切り替えている。 そのレンズを自分に向けて俺の横に並んだ。 一緒に?思わず二度うなずくと月代が笑った。 「いーちーにーのーはい!」 バシャと携帯が鳴る。 「うん、どーせならこっちのがよくね?」 月代が俺の携帯にある隠し撮り写真と 今撮ったばかりの月代の携帯の写真を並べた。 視線もピントも合っていて何より近い月代との写真。 「ああ。こっちの方がいいな。 ちゃんと撮った写真だ。」 「な。」 この写真が欲しいと言ったら変だろうか? そう言い出しあぐねていたら携帯が鳴った。 「今の写真も送ったよ」 月代が携帯を指差して笑う。 「上杉に見せようと思って保存してたけど こっちの写真があるからこれはもういいや」 月代は隠し撮りの方は消去したようだったけれど 俺はたぶんできない。 どっちも月代と写った貴重な写真だ。 隠し撮りをしてくれた誰かに感謝したいほどだ。 「こんな風に写真を撮ったのは初めてだ」 そういうと 「上杉の初めてに参加できて光栄だ」 月代はそういった。 言わないけれど、 言えるわけないけれど、 俺が初めて好きになったのは月代だと言いたくなった。