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ひな日記

坂口ひなです。
春です。あと数日で4月です。
私や白雨は3年生に進級します。

今日はぽかぽか陽気で快晴で、
とっても気持のいい日でした。
その上、週末じゃないのに遥さんを見かけた。
マンション前でもう半袖のシャツなんか着ちゃってて
その色素の薄いとび色の奇麗な瞳に私を見止めてから、
「こんにちは。ひなさん。」
って挨拶してくれた。
マンションの管理人さんと住居者って関係のおかげで
こんなにかっこいいひとが私に話しかけてくれる。
ここに住んでてよかったなぁ幸せだなぁって思う。

それにこないだの会話で名前で呼んでって言ったこと
覚えててくれて今日も名前で呼んでくれた。

「こんにちは遥さん。もう、半袖なんですね。」
「うん。ちょっと早いかとも思ったけど、天気がいいし、
 今日は春風をいっぱい感じたいなって思ってさ。」
そう言って春の香りを吸い込んで笑った。

「ひなさんは今、帰り?」
「はい。遥さんはお出かけですか?」
「うん。バイト。」
「他にもバイトしてるんですか?」
「代理のバイトとかたまに引き受けたりしてるんですよ。」
「今から?日が落ちたら冷えますよ?」
「ご心配ありがとう。羽織るもの持ってるから大丈夫。」
大きな鞄から遥さんの髪色に映えそうなお洒落な上着を少し引っ張って見せた。

「どんなバイ・・」
トしてるんですか?近場で見えるとこなら知りたいなっって、
こっそり眺めたり、訪ねて行ったり、できればいいなって、
問い掛けた言葉は遥さんの言葉に遮られた。
「あ、マズイ。遅れそうだから、またね、ひなさん。」
「あ、うん。いってらっしゃい。」

遮られたはずだったのに、
「あのね、」
振り返った遥さんは
「俺のバイト先、中高生は入れない所だから、
 もうちょっと大人になったらいらっしゃい。」
そう言って手を振って走って行った。
私の質問、悟って答えてくれた。
ほんと、遥さんって、私の理想の人だ。

遥さんの背が角に曲がって見えなくなるまで目で追って、
自宅へ踵を返したら何かが足もとに転がってた。
ちょっと大きめの装飾の施された・・・クリップ?
こんなの見たことない。見た目よりも軽くて使いやすそう。
ああ、そうか。
さっき遥さんが羽織るものを見せてくれた時に鞄から落ちたんだ。
これは遥さんのだ。

やっぱり届けるべきだよね。
だけど今からバイトだって。
マンションを見上げる。
白雨、いるかな?

用事があるなら白雨だって話しやすい。
遥さんと白雨の住む11階へ向かう。
表札を見ながら部屋を探す。
1102号室にそれらしき表札。

直見遥
月代白雨

遥さんと白雨の苗字が違う。
遥さんは初めて話した時直見って名乗った。
だから勝手に白雨も直見白雨なんだろうって思ってた。
家族じゃないの?兄弟でもないの?二人きりで住んでるの?

「人んちの前で何かたまってんの?」
振り向いたら後ろにけだるそうな表情の白雨がいた。
ほんと遥さんとは全然違う。似てるようでまるで似てない。

「ねっねえ?どういうこと?
 どうして苗字違うの?」
「は?」
「遥さんと白雨。なんで?遥さんは家族だって言ってたのに。」
「んなのあんたに関係ないじゃん。」
「そりゃそうだけど・・・」
明らかに不機嫌な白雨。
そうだよね。言いにくい理由があるのかもしれないし。
いきなり玄関前にいて、いきなりこんな話題の質問されてもね。

「ごめんっ!」
「はあ?」
「そんなこと聞きにきたんじゃないの。
 不躾な質問しちゃってごめんなさい!
 あの、あのこれっ!さっき遥さんが落としたみたいだったから!」
ずいっと、拾ったクリップを差し出す。
「ああ、うん。遥のだ。」
白雨は少し口調を柔らげて受け取った。

「さっき?」
「バイトに行くって。さっき外ですれ違って。」
「そっか。で、届けてくれたんだ?」
「うん。それじゃ、」
「───血はつながってないんだ。
 遥は家族だって言ってくれるけど、
 ほんとはただの親戚。」
「え?」
「だから苗字は違うんだよ。
 んじゃ、届けてくれてありがとう坂口さん。」
初めて「あんた」じゃなくて「坂口さん」って呼ばれた。
なんか打ち解けてくれたみたいでほんのり気持ちが上昇する。
しかも「だよ。」だって。心なし語尾まで遥さんっぽくて優しい。

「白雨、」
「んー?」
当たり前のように返事してくれるけど
初めから白雨のこと名前呼びしてる、私。
白雨からしたらとんだ常識知らずだよね、私。

「遥さんと白雨には特別なつながりがあるように見えるよ。私には。
 実際の兄弟や家族よりもお互いを大事にしてるように見える。」
またズケズケ踏み入り発言しちゃったかな。
けど、でも、そう見えるんだもの。
なんかお互いがお互いに必要みたいな。
お互いがお互いを大事にしてるような。
「───血みたいに確かなつながりがないからこそ
 このつながりを大事にしようって、強く思ってるからかな。」
え?
白雨が笑った。
すごく穏やかに。
すごく柔らかに。
いままで見たことない顔で笑って言った。
こんな同級生の男子が存在するなんて嘘みたい。
こんなに奇麗に笑ってその笑顔を見てうっかり泣きそうになるなんて。
「白雨の今の顔、遥さんみたい。すごく似てる。」
「そっか。」
そう言ってもう一回笑った。
それからいつもの顔で「ありがとうさよなら。」って家に入った。

どうやって帰ったのか覚えていない。
何度も浮かぶのは白雨の柔らかな声と顔。
どきどきするのはなんでなの?
泣きたくなるのはなんでなの?
私の理想も憧れも太陽みたいな遥さんなのに、
どうして月みたいな白雨がときどき遥さんと重なるの?

「謎が多いなぁ。」
逢うほど謎が増えていく。
知りたいことが増えていく。
もっと知りたいって思ってしまう。
これが好きな人を知りたいって心理なのかな。

ふと、遥さんが女の人といた日を思い出す。
気になるけどはっきり知ってしまいたくない唯一のこと。

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