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キャラの日常日記ブログ
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上杉は待っていた
翳りゆく教室の中
月代が登校してくるのを待っていた

雨が降り続く鈍色の空


「上杉まだ残ってたんだ?」
「ああ」
「生徒会?」
「否、・・・・・・月代を待っていた」
「俺?」


「雨、止まねぇな」
「・・・・・・」
「用事ないなら帰ったほうがいいよ?
 なんか冷え込んできたし雪になるかも」
「月代は・・・・・・」
「俺は、これ笹山ちゃんに提出してから帰るよ」
「そうじゃなくて・・・・・・」
月代は上杉が固まってうつむいたままなのに気付く。
その様子から上杉っていつもこんな感じだよなぁと思う。
何か言いたげで、何か一生懸命で、いつも寂しそう?寒そう?
「とりあえずこれ、笹山ちゃんに出してくるから
 もうちょっと待っててくれるなら一緒に帰る?」
「待ってる」
「うん」
普段は大人びて見えるのに
ひどく幼い子供のように見える上杉の
頭をぽんぽんとなでて月代は廊下に出ようとした。
のだが、上杉の震える指先がブレザーの袖口を掴んだ。

「わ、何?どうした?」
戸惑いの声をあげる月代に上杉が小さく告げる。
「・・・・・・なんだ」
「え?なに?」
「月代のことが好きなんだ」
友達というほど親しくしているわけでもなく
ここで友達として好きだなんて言うはずもなく
「ずっと好きでどうしうもないんだ」
と告げる上杉は小さく小さく凍える声で最後に
「ごめん」と言った。

月代の目に映る上杉は俯いたままで
薄暗い教室を外から照らす青白い街灯の光が
薄着で震えるその姿をいっそう寒そうに見せた。

無意識だったのか
寒そうと思った感情のせいか
月代は上杉を抱き寄せて肩を抱いた。
「上杉っていっつも寒そうだなって思ってたけど
 やっぱ冷たいんじゃん」
月代の体温を冷えた体に熱く感じて
たちまち上杉の顔は熱色に染まる。
今この肩を抱く体温が月代のものだと想う程
こんなに二人きりの教室に月代といると感じる程
嬉しくて切なくて暖かくて幸せであふれる想いが止まらない。

「上杉?」
心配そうに覗き込んだ間近の月代の瞳が
上杉の感情をより駆り立てるように黒く光る。

「ああ、そういうのもありなのかな?」
「月代?」

「うんあのね」
少し息をついてから月代が続ける。
「今、俺空っぽでさ
 そんな俺でいいなら付き合う?」

上杉は意味が分からずに顔をあげる
「俺と付き合う?」
月代は不思議な表情で上杉に顔を近づける。
上杉はその顔を、吸い込まれそうな漆黒の瞳を見る。
息がかかりそうな距離になってこのままだとキスしてしまうと思う。

キスしてしまう?
誰が?
自分と月代が???

照れだったのか
驚きだったのか
我に返った上杉は
思わず身を引いてしまい
危うくひっくりかえりそうになる。
それを阻止して庇ったのは月代の腕。

その腕は上杉の身の安全を確認すると
これ以上は何もしないよと言うようにすぐに離れ
「ごめんね」と月代はつぶやいて行ってしまった。

この瞬間から上杉は自分の取った行動に
どうしようもない後悔を感じる日々が始まった。

そう言う意味の好きだったのに
まさか月代が自分にキスするような
そんな展開になるとは予想もしていなくて
そんな月代が告げた「ごめんね」の意味も解らなくて
取り残された薄暗い教室の中で鼻の奥がつんとした。

月代の言ったように
雨は雪に変わって降り出したけれど
この静けさや寒さや切ない気持ちは
決してそれだけのせいではなかった。










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