夏期海外サッカー留学メンバーに選ばれたっつったら
古泉も月代も一緒に喜んでくれた。
出発する前日二人とも電話くれた。
で、月代の方はなんか気になることを言った。
「もしかしたら、現地で逢うことあっかも」だって。
そういや月代は日本で一人暮らししてるけど親、
海外にいるとかそんなんだったっけ?とか思い出す。
あいつは漂漂としてっけどどっか浮世離れしてるよなぁ。
『イノセントサマー』
ジョセフ高等学校はオーストリアにあった。
オーストリアと言えばウイーン?音楽の街?
ってイメージだけど俺らが行くのは地方の片田舎。
田園が続くだだっぴろい緑に囲まれた開放的な街。
そん中にダーッと広いサッカーコートが幾つもあって
その奥にはドーンとおしゃれででかい校舎が建っている。
ここをもうちょっと街に近いところにも似たようなサッカー場があるらしく
そこはプロの練習場でシーズンオフには色んなプロリーグチームが
合宿に使ったりしているらしくなんと去年はバルサが合宿したというから驚きだ。
なんかもう聞く話見るところすべてが田舎なのにグローバル。
やっぱ日本は島国なんだなーとか思うね。
ワールドカップかチャンピオンズリーグで有名なチームと試合して
目立たなきゃ海外からわざわざオファーなんか来ない東のアジア。
それでもなんでも俺は国立に立って海外でプレイするのが夢なんだ。
バカにされても夢は追う。
古泉や月代は俺をバカだと言うけど
俺の夢やサッカーは決してバカにしない。
月代なんて俺がサッカーでスランプなときにさー…
あいつらのこと考えると闘志が萎えそうだからよそう。
初日は自己紹介。
ジョセ(=ジョセフ高等学校)の奴等とともにまずは挨拶。
今日から寝泊まりする寮の広いミーティング室で始まる。
ミーティング室は日本の教室というより体育館並の広さだ。
で、そこで、部屋割表が配られる。
ジョセの生徒はなんと全寮制らしく俺らと一緒に寮で寝泊まりらしい。
とは言え、親睦を深めるためにこの期間だけは単発寝泊まり組の俺らと
同じ寮で同じ部屋でわざわざ過ごすらしいので2人一組外人と一部屋になる。
いきなりサッカーどころじゃねぇ大問題!
だって俺サッカー推薦だし英語無理無理会話も無理!
あ、この国は英語じゃないんだっけ?よけい無理じゃね?
「まず、この部屋割通りに部屋へ行って
ルームメイトと挨拶、それから荷物を置いて
30分後食堂でランチになります。では解散」
そう言われて部屋割通りの部屋へ向かう。
寮も半端なく広い。そんでエレベーターとかあんの。しかも二機。
俺は1階だから関係ないけど、と向かった部屋は突き当りの角部屋。
二人一部屋だって言うからホテルのツインみたいなのかと思えば、
入って先ずホワイトボードとソファーの置かれた中部屋がひとつ、
その両脇にドアが二つ。覗いてみるとどっちも個別ベットルーム。
角部屋だから片方のベッドルームの方が窓が一つ多いだけ。
そのベットルームとベットルームの間にシャワー室が一つ。
つまり、寝るときだけはマイルームとして眠れるわけだ。
なにこれ結構快適じゃん?
と再びホワイトボードの部屋に戻るとソファーに
金髪でグリーンの瞳のマッチョなでかい外人がいた。
「ナイスツーミーテゥー?」
なぜか疑問詞でこれ通じるのかと言ってみる。
「今日から同部屋の~だ」
日本語で返されたよおい。
日本語なのに名前の部分やけに流暢で
聞き取れないんですけど?バッシュ?バッジュ?
「バ・・・」
「Bでいい。日本人には発音しにくいらしいから。
なんでだか日本人学校通ったことがあるから
日本語でも通じる。だから毎年来るメンバーの中で
いちばん頭の弱いやつがたいてい俺と同部屋になる」
ん?
おかしいな?
俺、遠まわしにバカって言われてない?
否定はしないけど初対面でおまえそれは…
「事実だけで悪い意味はない。
バカだけどサッカーは天才な奴はいる。
勉強ができても凡庸なやつよりよっぽどマシだ」
う~ん。俺より日本語上手くね?
「あ、じゃ、日本語で。
俺は水品。水品朗。
水品って呼ばれるけど朗でもいい」
「…ミズでいいか?」
「それでいい」
よく見なくても外人ってイケメンだよなぁ。
とBを見ながら思う。
目の色とか宝石みたいでなんかすごい。
「ミズはどこのポジション?」
「ミッドフィルダー。トップ下辺りのな。
Bは?」
「ディフェンダー。
ミズの尊敬する選手って誰?」
「バッジョ。あの人はFWだけど。
MFならピルロだな」
「おまえ解りやすいな」
「なんだよ!
Bは?」
「ブッフォン」
「お前は解りにくいよ!」
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ちょっと休憩・・・のちほど続き書きます
っていうか・・・サッカー話長っ・・・
のちに書くことめも
・ぶたくさ花粉症
・生田登場
・Bの過去
・Bの嫌いな人間登場
・水品の実力
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