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パシッ。
竹刀から放たれた小気味いい音が勝敗を告げる。
相手はそれなりに腕の立つ剣士なのだろうが一瞬の勝敗。
遥は「ありがとうございました!」と一礼した後に上の観客席に目をやる。

そこには小さなガッツポーズを向けてささやかに笑う白雨がいる。
遥が吠えた。「見てたか白雨?見てたか?」子供みたいだ。否、
ご主人様に褒めてもらいたくて仕方のない大型犬のようにも見える。
きっとその尻に尾でもついていたならはちきれんばかり振られているだろう。
こういう遥はここに来て、白雨といるのを見て、何度か見て驚いて、笑った。
生徒会の連中がこんな遥を見たならきっと口をあんぐり開けて放心するだろう。

ks.png
「・・・なんだアレは・・・」
あらら。いたわ生徒会。
そっか昨日そういう話したっけ?
大会の序盤に見当たらなかったから忘れてた。
「副会長、来たんだ?」
「そう告げたはずだが。」
「ああ、そうだったな。」
「なんだアレは?」
「なんだよ。」
「なんだあの遥は!」
「いつもどうりだろ。
 本日イチバンの剣士に一本勝ちしたところ。」
「そんなことは解っている!
 その後のあの態度はなんなんだ!」
「ウイニング、スマイル?」
「その相手のあのチビはなんだ?
 あの細くて弱そうなあれは誰だ?」
「さぁ?遥のファンとかじゃない?」
嘘ぶいてみるも
「嘘をつけ。
 知っているんだろう。」
簡単にばれる。まあねえ。
「遥の宝物だってさ。」
それ以上の情報を与えてやる義務なんかない。
「ここだけの秘密にしておかないと
 遥の琴線に触れちゃうかもね。副会長さん。」
忠告だけしてその場を立ち去る。
やれやれだ。
面倒事は嫌いなんだけど
特に生徒会の遥マニアの連中には関わりたくないんだけど
なんでだか俺は思う。ここにいる遥と白雨にここでは穏やかに過ごして欲しい。
ここを立ち去るにしても良い思い出として過ごしてできればまた来て欲しいんだ。

だから残りの数日に波風なんかいらない。

白雨のもとに向かうと
むんぎゅと白雨にしがみついて
「褒めて褒めて」と実際は無い尾を振る遥を引き離す。
「ちょ、臣なにすんの?」
「遥、今は目立ってるんだからそこそこにしとけ。」
白雨から離れた遥は周りを見渡して確かに注目されていることに気づくと
「褒めて褒めて!俺すごくない?次勝っちゃったら優勝なんだけど?」
と今度は俺にしがみついて・・・見えない尾を振った。
俺をカムフラージュに使う気まんまんなのは解った。

「臣さん。」
「ああ。」
遥から解放されたのは午後の部の試合が始まる頃。
結局あのまま抜けだした遥と俺と白雨で昼飯を食ってから。
そういうのどこまでか解らないけどあの副会長は見てたんだろうな。
生徒会の連中と遥の間には随分前から取り決めがあるのだと言う。
俺と。遥の言うところの親友だと言う俺と、いるときに邪魔に入らない。
たったそれだけなんだけれど奴らにはすげえ口惜しい取り決めだろう。
俺はいくら妬まれてもやっぱり遥に特別扱いされてることの方が嬉しい。
豪快な男がこんな繊細な約束をして自分との時間を大事にしてくれるのが嬉しい。
そしてその男が今、目の前で、決勝の相手にも豪快な一本勝ちを決めて見せたのだ。
「遥、すごいね。」
「ああ。」
それ、本人に言ってやれ。
と思いながら、きっと言ってやるんだろうなと思う。
きらきらした目で遥を見ながら笑って言うんだろう。
遥を見やると俺が側にいないのを確かめてか
遥に走り寄る副会長・・・キジィの姿が目に入った。

「遥、キジィに掴まってたろ?」
大会を終えて一服してたらアトリエに遥が来たから聞いてみた。
どうせ大会の後もいろんな連中に捕まっては囲まれたんだろうな。
いつも愛想も元気も良い遥が少し疲れたような顔をしてため息をつきながら笑った。
「キジィだけじゃなくてもう、いろいろ。
 こういう扱われ方久々で疲れたぜ。」
「ふん。今さら。
 体力落ちたんじゃねぇの?」
「体力つーか気力が落ちたのかもな。」
「へえ。弱気?」
「俺が?まさか?」
「そうだろうね。
 ねえ、遥。」
「なんだ?」
「クソガキの面倒くらいなら引き受けてやるよ。」
「・・・ほんと臣は臣だよなあ。
 それも勘か?」
「必然に決まってるだろ。
 生徒会の連中に今ここに居ることがばれたんなら
 遥共々その側にいるクソガキに接触して来ないわけないだろ。」
「たいした神通力で。」
「一応、副生徒会長さんには、
 本当の本音を言っておいた。
 あのクソガキは遥の宝物だとな。」
「うん。あいつは、キジィは俺の勝手なルールをいつも
 誰よりも率先して重視して守ってくれるやつだから嘘はつきたくないんだ。」
「ああ。」
「いつも憎まれ役ありがとうな、臣。」
いつも太陽でいつも正義でいないといけない遥みたいな人間には
俺みたいな側近であり親友が必要なんだろうってずっと前に悟ったよ。
俺の側は落ち着くと言ったあの言葉もそうだろ?
光が光り輝いているためにはそばで支える闇が必要なんだろう?
俺のような。白雨のような。おまえが泥のようにゆだねられる闇。
「臣。」
「なんだ?」
「俺は無力だ。」
「今日の大会で圧勝しといてそれ言うのかよ。」
「心が無力なんだ。」
「また心かよ。」
「ウン。」
「どうした?
 そんなにキジィもろもろ面倒だったか?」
「いいや。
 そんなのは平気だ。
 俺はたぶん弱い男なんだ。」
「ははっ。
 遥のくせに?」
「ウン。
 なあ、俺、最後の頼みは臣なんだ。」
「俺なんか」
「臣、頼む。」
「は?」
「俺がどうしようもないことしたなら、
 その時は白雨を頼む。」
「はあああ?」
「白雨があんなに人に懐くの初めて見たんだ。
 それが俺の親友ってこれ奇跡だろ?」
「いんや。おまえが言い聞かせて俺の事
 親友だなんだと褒めた先入観あっての必然だろ?」
「それでも!臣が臣だから!俺は!
 なあ頼む臣!俺が判断を誤ったりしたなら!」
「解ったよ親友。
 白雨は俺が面倒見るよ。
 それで、おまえとの溝が出来てたなら埋めて返すよ。
 だからさ、あんまり、そういう顔するな。」
「すまない。臣。」
この弱点も曇りも一切ないこの男に
できたしまっったんだな不安の黒点が。
それは抱え込んで守りつくしたい大きな黒点。
なあそれ俺はそのまま抱え込んで引き受けても良いぞ。

おまえが強くあって欲しいというより
俺はそれがちょっと欲しいかもしれない。

あのクソガキ。なんともいえない存在。
幼くて綺麗で少し沙羅を思わせるきらきらした存在。

 

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