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「shit!先に臣、見つけちまった。
 見つけたからには聞くしかねーんだろうなあ。」

当人に聞こえるように言うこの声は
できれば聞き覚えがない方がありがたい相手だ。
芝の手入れ中の誰もいない真昼の競技場で空を仰ぐ。
そのひとり言のままに思い直して俺に関わらず行ってくれねぇかな?
その淡い期待を裏切って近づいてくる靴音にため息をついて覚悟を決める。

「俺様に話しかけられようってのになんだ?そのため息。」
「話しかける前に嫌がらせのようなひとり言はやめて欲しいんだけど。」
「ふん。俺様は根が正直なんでつい言の葉が漏れてしまうんだよなあ。」
「どうでもいいけど用があんならさっさと済ませてくれよ。副会長さん。」
副会長さん。学生徒委員学生徒会副会長という、
まあ、学園の中ではそれなりの権限がある役職の、同級生。
キーズ・クラント。キジィとか呼ばれてる。で、いたく遥がお気に入りだ。
「遥どこいんの?」
「やっぱりな。」
「つか、遥来てんのになんで知らせてくんねーの?」
「知らせるほど俺、おまえと知り合いのつもりねーし。」
「ほんとおまえむかつくな。
 なのに遥の一番の側近って意味解んねえ。」
「褒められて光栄だ。
 つーか、遥の帰国誰に聞いたんだ?」
「おめーに教える義理はねーけど
 遥の居所聞いてる最中だし特別教えてやる。
 このサマースクールに参加してる運動バカからだ。」
「ああ、桂木な。」
そいつはそいつで運動能力の高い遥を最初にライバルとして
今はある意味目標として遥を追うやつらのうちのひとりと化している。
「で、遥はどこだ?」
「秘密の特訓中だ。」
煙草を取り出して火を点ける。
「煙草なんざ百害あっても一利もねえぞ。
 秘密の特訓ってなんだ?
 遥らしい行動だとは思うが。
 何の特訓だ?バイオリンか?柔道か?」
「剣道。
 明日、その筋のお偉いさんがやってくる大会があるからな。」
「ああ、そう言えば。
 遥が出るのか?」
「だろうな。」
「あい解った。
 おまえにしては的確で有力な情報だった。礼を言おう。
 早速その大会の見学を手配するとしよう。あ、そうだな臣。」
「まだなにか?」
「おまえに貸しを作るのはおもしろくない。
 だからおまえからこの俺様になにかあれば力になるぞ。」
「・・・・・・・・。」
「いま無いのならいつでも良い。
 と言ってもいつまでも貸しを作っているのは気持ち悪い。
 できれば手っとり早く頼みたいものだな。」
「んじゃ早速。」
「ほう?」
「遥がここに居ること知ってるの、できれば
 おまえさんと桂木くらいにとどめておいて欲しいんだけど?」
「は?」
「あいつ病み上がりなんだよ。
 あんまりわいわいされるのは俺も含め望まないと思う。
 おまえだってこの人気の少ないサマースクールくらいは
 いつも誰かに囲まれてる遥でなんかいてもらいたくねぇだろ?」
「・・・ふん。確かにな。
 幸い俺と会長と桂木くらいしか知らないだろう。
 もちろんどんなルートから広がるか知れないが。
 サマースクールもあと数日だ。
 それまではそうしよう。
 遥はもうここにいる。」
そうだ。そして残念だったな。
遥がいるのはそう。このサマースクールのあと数日間だけなんだよ。
そこまでは聞かれないから教えてなんかやらないね。
もちろん一緒に遥の宝物が来てることもね。
 
立ち去り際にキジィ副会長が振り返って言った。
「遥は、元気だったか?
 随分久しぶりだが変わり、なかったか?」
俺はこいつのことはいけ好かないけど
こいつが遥のことを好きなのは解るから
そこだけはちょっと好きかもしれないと思うから
「あの男がちょっとやそっとで揺らぐかよ。
 たいそうなカリスマオーラまとって相変わらず豪快に笑ってたよ。」
とだけ教えてやる。
死の淵をさまよった後とはおもえねーほど。
変わったのはどーにも保護者面してー宝物の前でのデレデレ態度かな。
「そうか!そうだよな!遥だもんな!」
キジィ副会長は納得したように笑って背を向けた。
遥を待ってたやつらはたくさんいるんだよ。
キジィ副会長も他の奴らも全部そうだ。
遥が生徒会抜けたときのメンバー全部。
誰一人遥を悪くなんか言わなかったよ。
ただ、すごく皆落ち込んでたのを知ってる。

俺はお前の口から本当の言葉を聞いてたから
納得してお前の行動に口裏合わせたりしてたけど
「今後生きてくためにどうしても通らないといけない橋渡りに行ってくる。
 生徒会っていうすげえ大事な仕事も仲間も放り出して申し訳ない。
 許してくれなくていいから見逃してくれ。」
生徒会の仲間にそう言って頭を下げた遥。
いろいろな事情を背負った生徒の集まるこの学園のことだ。
言えないけどそうゆうこともあるだろうと思える学園のことなのに。
遥は歯を食いしばって「ごめんなさい」としっかり謝ってこの学園を出たのだ
その遥が帰って来たと、ここに居ると、知った彼らが歓喜する様は目に浮かぶ。

遥はまたいなくなるから
喜んだぶんだけ悲しみも増すから
せめて一目逢いたかったと悔しがる他のメンバーもいるだろうけれど
俺はこんなふうに遥との再会と遥と白雨の穏やかなここでの生活を守る。
いいんだ。憎まれ役は慣れてる。こういうことは俺にしかできないからいいんだ。
これ以上の招かれざる客なんか俺がどうとでも追い払って知らなかったふりをしてやる。

俺だってもう少し遥と白雨を独り占めしたいんだ。

 


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