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1年の夏の終わり、学年委員の仕事にも慣れてきた頃、
生徒会室で学際についての資料を受け取った帰りの渡り廊下で
投げかけられている言葉が俺に向かっているものだと気付き足を止めた。

「おーこっちみたぜ。」
「やっぱ自分のことって自覚あんじゃねー?」

見覚えがないので他のクラスなのだろう。
ネクタイの色が青いので同学だと解る。

「いつもお高い上杉さんだよ。」
「確かに頭いーし優等生かもしんねーけど愛想ねーし面白味もねーし。」
「そうそ。なーんか俺はおまえ達と次元が違いますって態度とかさ。」
「何様?上様?上杉様?」
「女子に上様って呼ばれてその気になってんじゃね?」
「そういう態度、むかつく。」
「鼻につくんだよ。」

好きなことを言っている。

「俺は・・・」そんなつもりはない。
と言いかけて、そんなつもりはないけれど
今までに何度もそんな風に見られていたことを思い出す。
自分にそんなつもりはなくてもそう思われたら同じことだろう。

言葉が紡げない。

俺自身はあまり覚えていないけれど
兄が言っていたことをおぼろげに思い出す。
「葎はよく笑う子だったのにな。」よくそう言われる。
そうだったかもしれないが意識して笑わなくなった日がある。
「へらへら笑うなよ!おまえに蹴落とされたヤツが影で泣いてんだよ!」
学年順位が貼り出された日の昼休みに些細なことで笑っていたら胸倉を掴まれて言われた。
そばにいた友人は「そんなの言いがかりだ!上杉は今、成績順位のことで笑ってたわけじゃない!」
そう言ってかばってくれたけれど自分が笑うことで誰かを傷つけることがあると知って俺は愕然とした。
そして卒業の日「ああ言ったけど成績落ちて凹んでる時上杉を見るのはちょっと鬱だった時期もあったよ。」
と、あのときかばってくれた友人が言った。「ただの責任転嫁で妬みなんだけけどな。」彼は笑って言った。

ああ。俺が笑うと人が傷つく。
その気が無くても友人は傷ついていた。

「な~に?」
「言いかけてなんも言わねーの?」
「つか図星で言えねぇんじゃねぇ?」
「どんだけ人見下してんだか。」
「つかそういうとこもむかつく、きれぇ。」

「俺はおまえらのほうが嫌ぇ。」

「・・・うわ、月代だ。何?」
「っだよ。なんでこんなの庇うわけ?」

「庇ってない。
 おまえらが嫌いなだけ。
 嫌いとか言いながらその相手に愛想なんか要求してんじゃねぇよ。」

「なんなの?月代いつもとキャラ違くね?むきになんなよ?」
「冗談じゃん。マジで怒るなよ。」
確かに普段の月代には見られない凄みで睨んでいる。
その表情にいつもの気の抜けたような笑みは微塵もない。

「じゃあ八つ当たりすんな。謝れ!
 俺は今、腹が減って異常にむかついてんだ!」

「「そっちのが完全な八つ当たりじゃん!」」

「いんだよ俺は!
 どうすんの?謝んの?
 それともその前に拳で話し合う?」

「上杉より嫌なやつだな。
 我が侭過ぎるんだけど。
 拳じゃ話し合うとかねぇし。」
「ったく解ったよ・・・ぶっそうなこと言うなよ。」

「上杉、悪い。」
「ごめん。言いすぎた。」
「ってことだから勘弁してやって。
 こいつら悪気しかないんだよ。
 上杉ばっかもてもてでひがんでるもんだから
 真っ直ぐに悪意の気持ちを伝えたかっただけなんだ。」

突然の月代の登場に
突然の彼らの謝罪に
頭がついていけなくてコクコクと頷く。

「なんだよその言い方。酷くねぇ?」
「まんまじゃん。」
「まんまって・・・もっと言い方があんじゃん。」
「上杉に嫌われたら女子にも嫌われるぞ。
 好きなもん嫌いだっていうやつは嫌いだろ?」
月代はさっき嫌いと言い放った彼らの首に
ぶらさがるように腕を回して顔を近づけて話している。
彼らもさっきまで威嚇していたことを忘れたように砕けた表情。
「あ~・・・。」
「まあ・・・。」
「な!もてない要素増やしてどうする?」
「あのなぁ。俺らそこまでもてなくないぞ。」
「まあ、でもここじゃ女子と接点少ないしな。」
「そこで学際であり生徒会があるわけだ。」
「おお!忘れてた」
「来月じゃん!月代のクラス何すんの?」
「たこ焼き。そっちは?」
「え~と・・・なんだっけ?」
「俺らはお化け屋敷。」
「うわぁ。カップルしか来なさそう。」
「絶望だ・・・」
「ガッカリじゃねぇか・・・」
なにやら打ち解けて笑い合う月代たちの後姿を見ていた。
あの殺伐とした空気はいったいどこにいったのか楽しそうな後姿だった。 
 
「ああもう仕方ないなぁ。
 学際でたこ焼きおごってやるから元気出せ。
 たこ焼きは万人に愛される食べもんだから
 たこ焼きをしこたま食う女子と仲良くなれるかもだぞ!」
「そんなにたこ焼きばっか食ってる女子はやだよ俺・・・」
「俺はそんな女子でもいい。出逢いたい。」
「ほら田村!村田はこんなに前向きだぞ!」
ああ、彼らの名前はそういう名前なのかと
離れていく声に耳を傾けていたら
「俺は田村じゃねぇ!」
「俺も村田じゃねぇ!」
と返していたので思わず笑ってしまった。

怒らせることで人を笑わせるだなんて、なんて素晴らしい才能だろう。
だってこの場に生まれただろう被害者も加害者もいなくなってしまった。

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