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入学してから、時は飛ぶように過ぎた。
全くと言っていいほど何もかも初めての世界に
戸惑いながら慣れながら必死で毎日を生きた。
広夢様は最初の10日間だけ寮の同部屋にいてくれて
その10日間だけ同じ科目を隣の席で受講しながら登下校も一緒してくれた。
でも、その10日間が過ぎると突如今までの生活なんかなかったように突き放した。

俺はひとりになった。

と思ったけれど広夢様はやはり目を惹く人だったから
10日間つきっきりでいた俺への注目はピークを達していたらしく
自然にぱらぱらと人が寄って来ては同じ質問を繰り返し受けた。

「あの人とどういう関係?」
「あの人とどうして同じ苗字なの?」
「あの人ってどういう人?」

俺は俺のことなんか何にも話せないけれど
広夢様のことなら、広夢様の魅力についてなら幾らでも話せた。
広夢様について話す俺の言葉は魔法の言葉となってそれを機に
クラスメイトにも広夢様に代わって相部屋になった人とも気さくに話せるようになった。

「なあ、なんで10日間だけ入れ替わったんだ?
 俺、寮長から10日間だけ代われって言われて従ったんだけど。」
相部屋のルームメイトは瀬名と言った。
サッカー部で日に焼けた肌の白い歯が綺麗なオトコだ。
ぶっきらぼうな物言いだけど悪意がなくて率直なので話しやすい。
「俺は世間にうといし、初めての海外でいきなり学校だったから
 たぶん、10日間、慣れるまでそばにいてくれたんだと、思う。」
「なんで10日間?
 もっと一緒にいればいいじゃん。
 仲いいんだろ?学年もおなじだろ?」
「・・・ずっと一緒だと俺は変らない・・からかな。
 きっとヒロム・・・さんに頼ってしまうから。」
同級生で様なんておかしいでしょ。呼び捨てで呼ぶこと。
と言われた俺が必死で譲歩した呼び方で呼ぶけどそれでも瀬名は不思議な顔をする。
「それと、なんでさん、付け?
 苗字も同じだし、でも似てないし、親戚か?」
「そんな、ところ。
 俺はあの人に恩が、とても返せないだろう大きな恩があるから。」
「ふうん。
 ちょっと冷たい感じに見えたけどいい人なんだ?」
「うん。とても。綺麗で優しい人だよ。」
「おまえすっごいそのヒロムって人のこと好きなのな。」
「うん。好きだと思うのがおこがましいくらい好きで尊敬してる。」
「で、その10日間以来も仲良くしてんの?
 俺、割とサイと一緒にいるけど話したりしてんの見たことないし。」
「ううん。
 10日間過ぎてから一度も話してないよ。」
「マジで?もう夏だぞ。
 入学して半年過ぎてんぞ。」
「うん。」
「寂しくねぇの?
 つかそれどういう関係だよ?」
「寂しい・・けど仕方がないんだ。
 俺が構いたくなるような魅力がないから。」
「はあ?意味解んねー関係だな。
 面倒見が良いのか悪いのか、優しいのか冷たいのか解んねぇな。」
「優しいよ。俺が強くなるために冷たいんだ。」
「ふうん。
 ・・・俺はサイが自分で思ってるほどダメな人間じゃないと思うけど。」
「ありがとう。
 でもまだまだなんだ。
 もっとずっと頑張らなくっちゃ。」
「ま、そういう気持ちって大事だよな。
 俺もサッカーそこそこできるほうだったのに
 ここじゃベンチにも入れてもらえない有様だしな。
 お互い自分を高めるために頑張って努力しようぜ!」
「うん。」
瀬名が同部屋のルームメイトでよかったなぁって思う。

なりふり構わずに頑張ると時間はすぐに過ぎる。
勉強に励むと言うのは数字で結果が出るから達成感がある。

「彩、外出許可取ってあるからディナーに行こう。」
教室を出たところに広夢さんが待っていてそう言った。
ようやく成績が上位に入り始めた頃の落ち葉の舞い散る秋だった。

リムジンで乗り付けたホテルの一室で
制服から広夢さんが用意した正装に着替える。
高層階にあるシャンデリアが掛かった広い部屋。
さらに高層階にある静かで煌びやかな最上階の店に入る。
予約がされていたようで奥の他人の目が気にならない個室のような席に通される。

広夢さんの身のこなしは相変わらず優雅で手馴れていて
久々に近くで見れたその物腰や綺麗な顔や髪に俺は見惚れる。
「なあに?俺の顔になにかついてる?」
「いえ。お久しぶりだなと思いまして。」
「ああ、そうだね。久しぶり。
 今回の成績見たよ。頑張ったね。」
広夢様のすらりとした手が俺の頭に伸びる。
日本で言うところの(ここだと4期性)高校1年にもなって
それ以前に俺は20歳を回った年齢ではあるのだけれど
おかしな光景なのかもしれないけれど俺は広夢さんに撫でられると嬉しい。
「ありがとうございます。」
「ふふ。なんだか少し背筋が伸びたみたい。
 いい資質持ってたのかもしれないね。彩。」
「資質・・・ですか?」
「うん。俺のサポートできるだけの資質。
 ちょっと魅力的になった彩に、乾杯。」
そそがれたシャンパンのグラスを持ち上げる。
俺も同じように持ち上げあげて同じように飲んだ。
酸っぱいような辛さが広がるのに飲み干すとどこか甘くて
キラキラした炭酸がグラスの中で踊るのが綺麗で爽やか。
広夢さんみたいだ。
馴れないアルコールが入っているせいで頬が熱くなるのが解る。
うっとりとしながら順番に運ばれてくるどれも美味しい料理を口に運ぶ。
目の前に広夢さんがいる。それだけで夢のようなのに夢のような場所に
アルコールに料理にキラキラしたシャンデリア、窓の外に広がる夜景。
「夢、みたい、です。」
「なにが?」
「広夢さんといれることが。」
場所より何より俺はあなたといたかったから。
「そう。」
ふっと笑う。
ああ、懐かしいな。
「こんな豪華な場所なのに
 初めてラーメンを食べたあの場所を思い出します。」
「ふふっ。個室だからかな。
 彩らしい感想でなにより。
 なあに?相変わらず人の目は苦手?」
「好きではないですがあまり気になりません。」
「ふふっ。そうでなくちゃここまで来た意味はないよ。」
「はい。」
「彩、」
「はい。」
「あと1年だ。」
「あと1年?」
「俺はね来年飛び級で3年になる。」
「え?」
「だからあと1年。
 俺とここで学ぶのはあと1年だよ。」
「あと1年・・・・」
「そう。捨てられたくなかったら、
 自由になりたくなかったら、
 俺を必死で追っておいで。」
「はい。」
ああ、どこまでも遠くへ跳んでいく
ああ、どこまでも速く高く飛び立っていく
この俺の神様はどこまでも気高く美しい
俺はまだその背を追ってもいいと言うのなら
俺はまだあきらめないでもがいて追いたい。
「はい。」
もう一度決意を込めて言うと
「おいで。」
と食事を終えたテーブルから手を引かれた。

赤い色の間接照明が灯る部屋。
俺はアルコールの熱に浮かされるまま広いベットに座る。
きっちり締められたネクタイがきつく感じる。
そのネクタイに広夢さんの手が掛かったかと思えば
そのネクタイを引っ張られてあごが上がる。
唇にとても懐かしくて愛しくて恋焦がれた久々の熱が降る。
「広夢・・・さ・・・まっ・・・」
「さん、でしょ?」
「んっ・・ふっ・・・」
熱が深みを帯びる。
アルコールにしびれた舌が広夢さんの舌に絡めとられる。
熱い苦しい愛しい嬉しい気持ちいい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい。
目のふちに涙がたまるのが解る。だってまたキスしてもらえると思わなかった。
「なあに?
 泣くほどいやなの?」
「ちがっ・・・泣くほど
 胸が痛いほど嬉しいです。」
「そう、ならいいよ。」
もう一度深いキス。
これは何のキスですか?
成績を上げたご褒美のキス?
よく頑張りましたのご褒美のキス?
それとも俺にだけくれるトクベツなキス?
「ひろ・・むさ・・・ま」
「さん。」
「ひろむさん、おれ、おれ・・・」
「なあに?」
「うっ・・えっ・・えっ・・・おれっ」
「泣き虫は相変わらずなんだ。」
「俺・・・俺は貴方が好きです。
 広夢さんがどうしようもなく好きなんです。」
「知ってるよ。」
広夢さんが意地悪そうに言う。
「わざわざそんなことを言うなんて
 彩、おまえは俺に何を期待して言うの?」
「期待・・・俺は・・・貴方の役に立ちたいんです。
 いままでずっと話すこともできなくて辛くて
 俺は役立たずで無力な自分が悔しいばかりで・・・」
「キスされたから欲が出たの?」
「まだ、俺にキスしてくれるのはなぜですか?」
「ああ、それが聞きたかったんだ?」
「はい。俺なんかに、」
もう、魅力がないと見切られたはずだったのに。
「頑張ったからだよ。」
「ありがとうございます。」
やはりご褒美をくれたのだ。
「それと、
 少しだけ魅力を感じたからね。」
「え?」
誰が誰に?広夢さんが俺に?
「気が向いたら抱いてみようと思ったけど
 相変わらず泣いてるから今日はやめとく。」
「どうして・・・広夢さん・・・俺・・・」
ぐぐっと涙を堪えるように口をへの字に結んだら
ふふっと広夢さんは笑って
「いやがって抵抗して泣くのならおもしろそうだけど
 嬉し泣きしてるようなのをいきなり抱くのはつまらない。」
以前嫌がって泣いていたときも抱かなかったのに
どのみち俺を抱く気がないんだと寂しくも気付く。
あの時の俺は本当にそういうことに無知で恥ずかしがったけど
今はいろんなことを知ってる。寮でも男同士で愛し合ってる人もいる。
たとえ広夢さんが俺にそういう行為を行っていてもそれは愛じゃないけど。
「広夢さんの愛する人なんて俺には想像もつきません。」
「そう?普通の魅力的な人だよ。」
「いまどうしてるんだろう?って思いませんか?」
俺は思った。
最初の10日間以降今日までずっと。
広夢さんはどんな風に過ごしてるんだろうって。
広夢さんに抱かれるのってどんなんだろうって。
「そりゃねぇ。
 でも、やっとどこで何してるのか突き止めたから。
 だから俺は飛び級して留学して逢いに行くことにしたんだよ。」
ああ、飛び級の理由はそれだったんですね。
ああ、追いつける羽なんて初めからなかったんだ。
「逢ったらどうするんですか?」  
「今日はやけにしつこく聞いてくるんだね。
 酔ってるの?まあいいや。聞かせたい位だし。
 今度こそ掴んで捉えて絶対に離さないしどこにもやらない。
 俺だけのものにして俺だけの秘密の箱に閉じ込めて一生愛すよ。」

広夢さんの秘密の箱に閉じこもって一生愛される。
どれだけ俺の望む理想の場所なんだろう。
俺の分際でありながら羨ましくて泣きそう。

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