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放課後になった。
昨日の強引な約束を取り付けた場所に向かう。
学年委員の仕事は昼休みに済ませたから気兼ねはない。

「月代。」
「おお、来たね上杉。」
そう言いながら上下式の蓋を上げて
図書委員の座るカウンターの中に入れてくれる。

「上杉ももの好きだよな。」
「え?」
「だってわざわざ手伝いに来てくれるなんて。」
「ああ、別に俺は来たかったから。」
一瞬気持ちがバレたのかと思い冷やりとした。
「なんで?」
月代が好きだからだ。
もっと一緒にいたいからだ。
教室では隣の席なのにいつも水品や古泉がいて話す機会が無いから。
今思えば偶発的なことだけれどここに俺が月代といられる場所があるから。
「ここはいごこちがいい。」
「ああ、納得。
 俺も図書室好きだから同じ理由だ。
 本に囲まれてるとなんかすげえ安心すんの。」
俺は本も好きだけれどそれ以上に月代が好きだ。

「これ返却おねがいします。」
「はいはい。えっとこの2冊ね。」
本の紛失と返却忘れを防ぐため
本にはチップが埋め込まれている。
専用の機械の上を返却された本をスライドさせて
返却作業を終えて「はい、返却されました。」と月代が言う。

「なんか今日、図書室利用者多いな。
 返却より貸し出しの方が多いんだけど
 読書感想とかそういうのあるのかなあ。」
月代が呟く。
言われてなるほど確かに利用者の姿が多い。
見慣れた者もいるけれど見慣れない者が多い。
見ていて気付くのは本を読んでいるのか解らない者が多い。
というか、見渡して何人かと視線がぶつかり慌ててそらされる。
「なんだ?」
「どうした?」
「いや、気のせいかもしれないが・・・」
俺が周囲をゆっくり見渡すと
同じように月代も見渡した。
「ああ、気のせいじゃないかも。」
「え?」
「上杉のこと見てるんじゃない?
 昨日の委員の仕事でまたファン増えたのかも。」
「昨日は委員より活躍した生徒だろう。
 それこそ・・・月代を見ているんじゃないかと。」
ああ、そうだ。きっと、そうだ。
「まさか。
 それにしても男子棟の図書室なのに女子の利用者増えたよね。」
「そうだな。
 今まで来た時はいないほうが多かった。」
「ね。
 禁止されてるわけじゃないんだから
 互いが行き来して交流すんのは活気が出ていいよね。
 勇気出してこっち来てる女子に口笛吹く男子とかどついてやる。」
月代の優しさが悲しくなる。
月代の魅力が切なくなる。

「月代は誰にでも優しいんだな。」
俺にも。
そうするのが当たり前のように優しい。
その優しさが染みてきて勘違いしそうになるほど。
「へ?俺? 
 優しくないよ。
 ほんとうは人あたり最悪だよ。
 ただ今は、ちょっと必死になってるだけ。」
「優しい。」
「上杉。」
「優しいんだ。」
「そう見えるなら、優しいのは上杉だよ。」
ちょっと困ったように笑う。
「今日は、本いいのか?」
「え?」
「いつもカウンターの中で読んでいるから。」
「ああ、今日は上杉来るって言ってたから。」
「気を遣わせたな。すまない。」
「いえいえ。楽しみにしてたよ。
 ねえ、上杉、なんか悩んでる?」
「え?」
「ここ、たまに、若山先輩とか
 クラス違うやつとかがなんか
 悩み相談みたくたまに来んだよね。
 上杉もなんか昨日様子が変だったから。」
「悩み・・・」
「言いたかったら聞くし
 言いたくなくて悩みたいだけならそれでもいいよ。」
「悩みというか、ただ、月代と話がしたかったんだ。」
「俺と?まじで?」
「ああ、迷惑じゃなければ。」
「嬉しいよ。どうしようにやけるじゃん顔。」
「そうか。俺も嬉しい。」
「・・・なんか上杉ってさ・・・・」
「なんだ?」
「天然?」
「天然?」
「はははっ聞かれても困るよな。
 いやなんかさ、上杉といると癒されるんだけど俺。」
「そう・・・なのか。」
「俺、上杉みたいな人好きだよ。」
「え・・・」
「さっき俺のこと優しいとか言ってたけど
 たぶん上杉に優しくしたいオーラがあるんだ。
 そういう人こそ優しい人で優しくしたくなるんじゃない?
 って俺上杉にたいして親切なことした記憶ってないけどな。」
なんだかすごく褒められている気がする。
それにさっき好きだって。人としての意味でも嬉しい。
頬の温度が上がるのが解る。さっきから耳が酷く熱い。
「そんなことはない。俺は月代に何度も助けられた。」
「そうだっけ?」
「先日も渡り廊下で・・・」
「俺、基本親切な人間じゃないから
 そうしたってことはそうしたくなる上杉ありきってことじゃないかなぁ。」
月代はふふふと笑って、「あんまりかいかぶられるとがっかりされたとき申し訳ないよ。」と言った。
がっかりできるのならさせて欲しい。
毎日膨れ上がるこの感情を沈静して欲しい。
だってたったいまこの時だって好きにならずにいられない。

「それにしても、なんか今日変だな。」
「え?」
「いやなんか・・・ざわざわする。」
「ざわざわ?」
「上杉のせいじゃないんだよ。
 なんだろう図書室の空気が落ち着かない。」
「そう、なのか?」
「う~ん。まあいいか。
 上杉いるから心強いし。」
「え?」
「ごめん、なんかわけ解んないこと言っちゃって。
 気にしないで。」
月代はそういうとぽりぽりと頬を掻いた。
「なんの話しようか?」
そう笑う月代の顔はもう曇ってなくて
ああやっぱり優しいなと思ってしまった。







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