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「門でお迎えできるまでになったんだ?」
「はい。1ヶ月もかかってしまいました。」

だって門には壁がない。
エントランスまでは壁がある。
扉を開けたときの開放感は怖いけど
一方方向だからそっちだけ注意を向ければ大丈夫。
しかも中庭に出て初めて気付いたけれど面が多いのだ。
右、左、前、後ろ、それから上にも空間が広がっている。
室内ではありえない場所にも開放的な面が広がっている。

「どうしてあんな狭い部屋がいいんだろうねぇ。」
広夢様はそう言うけれど俺に与えられている部屋は狭くない。
初めはもっと狭くてもいいのにと思うほど広すぎて怖かった。
「外はどこからも筒抜けなようで逃げ道がなくて怖いんです。」
「逃げ道?四方八方どこへでも逃げれるじゃない?
 むしろ部屋の中の方が逃げ道ないと思うけど?」
「あ、」
言われて見ればそのとおりだ。
「で、何から逃げてるの?逃げたいの?」
何から?
「あ、」
「何?」
「人の視線・・・から。
 人に見られるのが怖いんだと思います。」
「ああ、なるほど。そういう発想なんだ。
 前にも言ったけど自意識過剰なんだよ。」
「そう、なんです、よね。」
「そうでしょう?」
「俺を見て嫌な気持ちになられるのが怖い、です。」
「俺はならないよ。
 あ、でも逆にそういう考えには嫌な気持ちになるけど。」
「すいません・・・」
「直せばいいだけでしょ。」
「はい・・・」
「俺はね、彩、
 写真を撮るのが好き。
 移り変わる季節とそれに併せて変化する世界が好き。
 それをファインダーから覗いてシャッター切って映像に残すのが好き。」
想像する。
だって俺だって窓から見ていた。
日が傾く燃えるような夕焼けの色。
澄んだ空気まで見えてきそうな透明な朝焼け。
俺にとっての窓は広夢様のファインダーだったんだ。
「窓からじゃ見えない景色がありますか?」
「あるね。自分が向かうからこそ角度もできる。」
角度。
2週間。
部屋にこもって、広夢様に逢えないで、窓から覗いてた日々。
窓の外の広夢様はいつだって横顔だったり後姿だったり一辺でしかなかった。
勇気を出して部屋を出てこうして俺から向かう広夢様には色んな角度がある。
そういうことなんだ。

「そうですね。
 俺も広夢様の見る景色も見たいです。」
「俺の見る景色”も”って何?」
くすくす笑う広夢様。
広夢様の好きな景色を見る広夢様が見たい。
「広夢様の撮った写真でいちばん綺麗な景色はどんなのですか?」
見せてもらえたらいいな。
俺もそれが見たいと思えるだろうから。
外に行きたいと思うきっかけになるだろうから。
そうしたら、
「もう見れない景色。」
と、ちょっと真面目な顔で言った。
「二番目の景色ならいつか連れてってあげる。」
「ありがとうございます。」
お礼を言ったら広夢様の顔が俺に近づいた。
キスされるのかな?キス久しぶりだな。って
ちょっとドキドキしながらも触れるのを待っていたけど
俺の思惑に反してキスはどこにも降って来なかった。
「はい、
 これ門までお迎えできるようになったご褒美。」
もう普通の顔で、俺から離れて、
俺の耳にダテ眼鏡を掛けて言った。
「眼鏡?」
「閉じこもりのおまえの部屋の窓が
 俺にとってのカメラのバインダーだと思うなら
 今日からこれがおまえの窓。移動できる窓だよ。」
さっき俺が思ってたことを見透かしたように言った。
これが俺の移動できる窓になる?このダテ眼鏡が?

「なるよ。」
そう言って広夢様は美しく笑った。
広夢様が言うのならきっとそうなるんだろう。

「広夢様。」
「なあに?」
「あの・・・さっき・・・」
「さっき?」
「眼鏡を掛けてもらうとき・・・」
「うん?」
「キス、されるのかと思いました。」
「ふうん。」
「してもらえるのかと期待してしまいました。」
「そう。」
「もう、しな・・・してもらえないんですか?」
「気が向けばするよ。」
「そう・・ですか・・・」
「してもらいたいように聞こえるよ、彩。」
「して・・・もらいたい・・です。」
「そういうこと言う子にはしない。」
「え・・・あ・・・」
「でも、素直なのは好きだよ、彩。」
好きだよ、彩。だけ反芻してしまう。
それだけで安心して涙が出そうになる。
「俺は意地悪だから、じらしておまえのそういう顔、見るの好き。」
ふふっと笑う。
意地悪な笑顔も綺麗だった。
「彩、」
「はい。」
「俺を好きになる気持ちは解るけど、
 これ以上好きになったらだめだよ。」
「え・・・・」
こんなに好きになっているのになんでそんなことを言うんだろう。
独占したいなんておこがましいことは思わないからせめてそんな
突き放すような、心を否定するような、悲しいことは言わないで下さい。
「裏切られて傷ついて後悔するのはおまえだよ、彩。」
「後悔なんかしません。」
あなたに傷つけられるなら
この身をナイフでズタズタに
血も流れなくなるまで切りつけられても、きっと幸せ。

「後悔するよ。させてあげる。」
ふふっと笑った。

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