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帰りは帰りでやっぱり俺はダメな人間で
広夢様にぎゅっとしがみついたまま俯き加減で
そして少し来た時よりも足早に歩くことに集中して帰った。

「彩、」
帰りつくまで車の中でもずっと
無言だった広夢様に呼ばれた。
「はい。」
やっぱり呆れられているのか。
呆れるだろう。
所有者が所有物に振り回されるなんて
気分のいいものでもないだろう。
家(と呼ばれていたところ)で俺は
感情を出すと殴られて蹴られた。
泣いたり、喚いたり、笑ったり、
そういうのは暴力の原因でしかなかった。
なのに、そういうのが染み付いていたはずなのに、
俺は広夢様の前で泣いてしまった。
呆れられて当然だ。
「すみません。」
「まだなんにも言ってないんだけど?」
「すみません。」
「おうむみたいだね。
 なにあやまってるの?」
「俺は・・・だめな人間だから・・・」
「人間って自覚あるんだ?」
「っ・・・!すみません。」
「ばかにしたのに謝られてもリアクションに困るなあ。」
「すみません。」
「すみませんは聞き飽きた。
 この問答にも飽きた。
 それより彩、」
「はい。」
「俺にキスして。」
「え?キス?」
「なに、嫌なの?」
「そんなこと、ありません。
 俺が・・・俺なんかが・・・広夢様に?」
「それももう飽きた。
 するの?しないの?」
「させて・・・頂きます。」
「じゃ、はい。」
手前の椅子に座って目を閉じた広夢様に近づく。
薄茶の美しい瞳を閉じてもなお長い睫毛が美しい人。
鼻筋が通っていてひとつの隙もないギリシア彫刻のような人。
ちゅ。
口付けたのに広夢様の瞳は閉じられたままだった。
「広夢・・・様?」
呼びかけてようやく目を開けた広夢様は俺を見て
びっくりしたみたいに目を見開いてそして・・・大笑いした。
「広夢様?」
「はははははあははははははっ!」
呼びかけても笑うのに忙しくて返してはくれない。
「広夢様・・・」
「はははははははははあははあははははははっ!」
「・・・」
「あはははははははっ・・・はは・・・はあ・・・はあっ・・・」
「・・・」
「俺、キスしろっていったよね?」
「あ、はい。すみません。」
「語尾にいちいちすみませんつけないでよ。
 なんでしなかったの?」
「しま・・した・・・。」
「したってあれ?
 ほっぺにちゅう?」
「あ、はい・・・キスって言われたので。」
「あんなのキスに入らないよ。
 なんで目、閉じてんのにわざわざ頬なんだよ。」
「・・・・違いましたか?」
「はははっ・・おまえ・・・違うだろ。
 キスって言ったら唇だろ。
 おまえ本気でそれだから笑えるけど
 俺とキスしたくなくてそうしたんだったら
 俺は傷つくなあ。」
「えっ!そんな!そんなことないです!俺はっ・・・」
「俺は?」
貴方が好きです。
と言ってしまいそうになって慌てて止める。
所有物の分際でなんとおこがましいのか。
「俺は・・・俺なんかが広夢様にそんなこと、」
「ふうん。いやじゃなかったってこと。」
「も、もちろんです。」
してもいいならしたかった。
だからそんなことを俺に言わないで欲しい。
俺は広夢様に求められているのだと勘違いしてしまう。
「彩、おまえキスくらいまともにできなきゃ
 他になんにもつかえないんだけど。」
「え?」
「おまえなんかいなくてもこの屋敷はそつなく回ってる。
 林と使用人がいるだけでもう他に人員は必要なかったんだ。」
「あ・・・」
「だから俺の遊び相手くらいになってもらおうと思ったんだけど
 おまえキスもろくにできないしさ。」
「すみません。」
俺はほんとうにダメな人間だ。
俺はほんとうに不必要な人間だ。
「そこで謝られるとどうしようもないんだけど?
 なに?そのすみませんってどういう意味なの?
 俺のおもちゃにはなれませんすみませんってコト?」
「そんな・・・そうじゃないです。
 俺がダメな人間だから、だから、」
「ダメかどうかは俺が決める前置きみたいに言うな。」
「広夢様?」
「言ったろ、初めに。
 俺がオトコ相手に性欲わくか実験するくらいには
 役立ってもらうって。」
「せい・・よく・・・?」
「どこまで実験できるかは俺次第だけど
 彩も少しは協力してくんねーと雰囲気すらつくれねぇし。」
「雰囲気・・・あの・・・俺はなにをすればいいですか?」
こんな俺でもまだできることがあるのですか?
「解って聞いてんの?
 オトコ相手に、俺相手に、エロいことできんの?」
「なにを・・・どうすればいいのか・・・知識がないので
 言ってくださればなんでも・・・」
「なんでも?」
「なんでも、です。」

貴方に捨てられるくらいなら死んだ方がましだ。
貴方に命じられることならなんだって命だって惜しくない。
「貴方のためならなんでも、」
ああ、どうしよう。とまらない
どうして俺はこの人にこんなに惹かれて止まないのか。
いやなら突き飛ばして罵って死ねと命じてください。だから。
「できんじゃん。」
ほんとうは初めからそこにしたかった口付け。
そっと形のいい唇に触れたらそう言われた。
飴色の瞳を優しく細めて笑ってくれた。
ああ、よかったと離そうとした唇がふいにくっついた。
「まだキスとは言えないよ。」
立ち上がった広夢様に肩をつかまれて上から強く唇を重ねられる。
あ・・・。
唇をこじあけて舌が入ってくるのが解る。
熱くて、柔らかくて、少し甘くて、息が詰まる。
「はっ・・む・・・ん・・・」
「はぁっ・・・・」
これがキス?
これはキスなんだろうか?
頭の芯がしびれて熱に浮かされたような気分。
この綺麗な人と俺なんかがこんなことをしている。
そう思うと、身体熱がたまってどうしようもない気持ちになる。
「あっ・・・んんんっ・・・」
「はむっ・・・」
これ以上されると身体の力が抜けて立っていられそうもない。
それより何より、身体が反応し始めるのが解る。
オトコ相手にエロいこと、と広夢様は言った。
俺は、できるんじゃないかと思う。
ぐらり、と力が抜けた体が崩れた。
「彩っ」
その身体を広夢様が抱え込むようにして支えた。

俺はなんでもできるよ広夢様。
俺はなんでもできるから広夢様。
こういうことじゃなくてサンドバックにでもしてください。
こんな甘いのなんて俺には不釣合いだしそれよりなにより
広夢様が穢れてしまう。
広夢様を汚してしまう。
「広夢様、」
「腰、くだけるほとよかった?」
「広夢様・・・」
「いまのがキスだよ。
 彩からあれくらいできるようになれば及第点。」
「広夢様。」
「ぼーっとした顔してる。
 ちょっとは可愛げあるじゃん。
 今日はここまでにしてあげるよ。
 キスうまくなるには舌でさくらんぼのへた結ぶ練習するといいんだってさ。」
長身のアポロ彫刻のように美しい人はそういって笑った。

その顔が美しくて
そのキスが甘くて
心も身体も呆としているのに熱くて熱くて熱くて
熱がたまってしまった自身が収まるまで待てそうになくて
俺は部屋に戻るなり自身を解放した。たった数回掻いただけであっけなくイった。

美しいあの人を想像してイったのだ。
あの人を汚したような罪悪感しか残らなかった。

俺はあの人が好きなのだ。
俺はあの人が欲しいのだ。
所有物と言われるのが嬉しい。
できることがあるのなら嬉しい。
あの人に触れられるのが嬉しい。
あの人にキスできるのが嬉しい。
あの人が笑ってくれるのが嬉しい。

でも、かんちがいするな、それは愛ではなく、実験だ。
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