30分。こんなところだろう。
「「もうできたの?」」
手を止めたらそれを見計ってか同時に声がした。
本を読んでいた白雨と、アトリエの入り口に立った遥。
全然似てないけどさなんかどっか似てるんだこいつらは。
「乾くの待ってもうひと重ねってとこかな。
今日のところは終わり。
息抜きの手慣らしだし。」
「そっか。」
「おい、臣、見ていいか?」
「ああ。」
コーヒーを淹れるためにキッチンカウンターに立つ。
「見てもなんだか解んねぇだろ?」
あんまりに返答がないからそう付け加える。
ちょっと身を乗り出して見やると白雨も一緒に見てた。
二人して聞こえていないかのように黙ったまんまそうしてる。
とりあえずコーヒーを3つぶん淹れてからトレイに乗せて持って行く。
「どーした?」
コーヒーを差し出しながら言うと
コーヒーの匂いで意識を取り戻したような顔して
そう、二人とも目ぇまん丸のおんなじ表情こしらえて
「「なんか、すごい」」」
これまた声までそろえて言うもんだからおかしくて少しコーヒーを吹いた。
「なにがだよ。」
「いいな、こういう色。」
「うん。すごく綺麗。」
お綺麗なガキのお綺麗なイメージを色にしたらそうなった。
とはさすがに言えないから「そうかよ。」と返しておく。
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