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「遥。」
白雨は少しトーンの上がった声で言った。

「白雨が話しかけたのか?」
「いんや、俺。」
「臣、なんで白雨のこと知ってんだ?」
「や、熱心に遥見てたからこいつかなーって。」
「おまえの勘、鋭いこと忘れてたぜ。」
「たまたまだよ。」
「白雨、このお兄さんに何もされなかったか?」
「・・・自己紹介しただけだけど?」
「遥てめー勝手に人の印象悪くすんなよ。」
「あーいや、ごめん。」
「てか、躊躇せずに紹介しとくんだったぜって、何?」
「あーうん、その、えーっと。」
この豪快な男がなんとも歯切れの悪いことだ。
白雨を見て遥を見て勘の鋭いらしい俺は気付いた。
「まあいいや。
 その話はまた今度な。
 んじゃ邪魔者は消えるよ。」
俺に大事な白雨を逢わせたくなかったんだろ?
その理由は嫌ってほど解るよ。沙羅からいろいろ聞かされたんだろう?
あることないことではなくてあることだらけの俺の自堕落な日常なんかをさ。

「臣!臣!臣!」
「人の名前そんなでかい声で遠くから連呼すんなよ。」
「ごめん!」
「何がだよ?」
「だからその白雨を紹介すんの躊躇ったことだ!」
「ああ、いいよ。その気持ち解るし。
 うん。至極最もなことだと思うよ。」
「・・・ほんとにごめん!」
「だからいいって。
 沙羅から俺の話聞いたからだろ?」
「臣はなんでもお見通しだな。」
「ばっか。ちょっと考えれば解るよ。
 遥と沙羅は兄弟なんだしこっちに来れば俺より先に逢うに決まってんじゃん。
 俺、さらに沙羅に嫌われる要素いっぱいな日々を過ごしちゃってただろうしな。」
「弁解はしないのか?」
「しないんじゃなくてできない、んですよ。残念なことに。」
「全部マジなのか?」
「沙羅のこと好き好き言いながら
 別の子とやってるのをなんでかよりによって沙羅に見られたってこと?」
「う・・・」
「その子が沙羅の知り合いでついでに他にもそういうことする相手がいることも
 知られちゃったこと?しかもそっちは男で。」
「ま・・・」
「マジマジ。本当のことだよ。
 お綺麗な親友じゃなくてごめんな。」
「いや、おまえが早春なのは知ってたよ。
 別にそれが悪いとか思わないし相手を傷つけなきゃいいと思う。
 不思議なのはおまえ沙羅すごい好きだろ。なんでバレたら嫌われることしてんだって思ってさ。
 おまえならさ、沙羅にバレないように好きなこと好きなだけできんだろ?だからマジかと思ってさ。」
「ふふっ。ああ、確かにそうだよな。どうしてだろうな。
 好きにはなれない、好きじゃない、それだけじゃ物足りなくなったのかもな。」
「え?」
「嫌悪されるくらい意識されたい。笑うか?」
「なんか臣、可哀想だ。」
「おー同情してくれんのか親友?」
「つーか痛々しくて見てらんねえ。」
「そんなに俺、沙羅に嫌われてた?」
「あいつ潔癖なんだよ。特にそういうことには。
 って臣それも知っててわざとそういうの見せたのか?」
「解んねーなー。」
「かろうじて、だけど、」
「ん?」
「相手の女も、男も、臣に悪いことしたって言ってるって。
 相手を傷つけたり弄んでるわけじゃないってことは沙羅知ってたよ。
 それだけが救いだけどでもやっぱり臣は解らないし嫌いだってさ。」
「とどめ刺すねぇ。
 うん。俺は誰かを傷つけたいわけじゃねぇよ。
 たぶんきっと沙羅を好きで仕方ない自分が傷つきたいだけなんだ。」
「救われねぇ趣向だな。
 自虐的で排他的でただのマゾシチズムだ。」
「うん。そうだね。」
「俺はな、」
「うん?」
「臣と沙羅がどうとかじゃなくな、
 臣には親友には幸せであって欲しいんだ。
 なんで自分傷つくことばっかしてんだよおまえ。」
「傷つきたいから、だろうな。」
「解らん。」
「うん。だろうね。」
「なあ、」
「うん。」
「俺、白雨がいて幸せなんだ。
 なんでか死なずにこんなに元気だし。」
「うん。」
「おまえも幸せになって欲しい。俺の勝手な望みだけど。
 そのためなら俺はどんな協力も惜しまないつもりだぞ。」
「うん。」
「沙羅じゃなきゃだめなのか?」
「うん。沙羅じゃなきゃだめなんだ。
 あんな綺麗で清らかな存在はどこにもいない。」
「あんなのどこにでもいるただの女だぞ。」
うん。それ耳にタコだよ。さんざん聞いた。
遥の見解はそれでいいんだ。兄弟だから。
血のつながった身内だからそれでいいんだよ。
「沙羅と血のつながった遥なのに俺の親友でありがとう。」
そう言うと豪快な男が繊細な表情を浮かべてくしゃりと顔を歪めた。
俺の親友は神のように万能でその上人を思いやれる誇れる男だよ。
 

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5つ下だと言ったか。
俺と遥は今年で18だ。
つうことは白雨(だっけ)は13。
俺がとことん沙羅に嫌われ始めた歳だ。
(ち、嫌なことに気付いて思い出しちゃったぜ)
俺もこんなだったかな13の頃の雰囲気って?
と、遥を真っ直ぐ追う線の細い横顔をなどる。
たぶん全然違うだろう俺こんなに華奢じゃなかった。
そもそもこのガキは沙羅のお気に入りでもあるらしい。
沙羅に嫌われ続けた俺とこのガキは天地ほど違っただろう。
そもそもこいつが白雨だと決まったわけでもない俺の勘だ。

観覧席にもなるしただの階段でもある段差に腰掛けるガキ。
近づきながらそのガキの見つめる先の遥もついでに見る。
遥はと言えば今度はバスケでダンクなんか決めてやがる。

「相変わらず派手だな。」
一心に遥に注がれていただろう視線がこっちに向く。
あどけない顔立ちとは裏腹に表情の読めないビー玉みたいな瞳。
「張り切り度いつもより2割り増しってカンジなのは
 ギャラリーにキミがいるからかね?」
「・・・」
ビー玉の瞳は警戒しているのか俺を凝視している。
睫毛が真っ黒で長くてその奥にささやかに光るビー玉の眼。
夜の暗闇の中にぬらぬらと揺れる水面に浮かぶ満月の月を思う。
油断しているとその言い知れない何かに飲み込まれるぞと警告が鳴る。
「キミ、白雨でしょ?違う?」
ビー玉の眼は一度閉じられた。それから立ち上がって俺を見る。
「あんた何?誰?」
おーおー勝気なガキだ。
声もまだ幼いのに気迫はあんのな。
黙って笑ってりゃお人形さんみたいに可愛いだろうに。
「俺は臣。遥に聞いてない?
 あいつが日本に渡るまではここで悪友やってたよ。」
「・・・知ってる。
 存じてます。今もずっと親友だって言ってました。
 そう、あなたが・・・初めまして月代白雨と言います。」
おやおや急にイイコになったぞ。
まだにっこり笑ったりはしない感じだけど。
んーでもちょっと堅いか?戸惑ってるか?
「うん。初めましてキミ・・・」
沙羅のこと知ってる?沙羅キミには優しいの?
沙羅に好かれるにはどうしたらいいかキミは知ってる?
なんて沙羅沙羅づくしなことを聞こうと思ったら豪快突風にかき消された。

「うーわーもう出逢っちゃってんじゃん!
 そんなことなら躊躇せずに紹介しとくんだったぜぇ!」
遥が後ろに砂埃を巻き起こしながらすごい勢いで走ってきた。
沙羅を好きになったからこいつと出逢ったんだったか
こいつと出逢ったから沙羅のことを好きになったんだか
正直、忘れた。

どっちも大差ない。
どっちもが同時だったかもしれないし
どっちもが別々だったかもしれない。
そもそも沙羅と遥は兄弟なんだから
どっちに先に逢おうがどっちかに逢った時点で必然だったんだろう。

親友の遥。
キンダーガーデンも同じだったらしいが
知り合ったのはエレメンタリースクールだった。
学校も一緒で親同士も顔見知りなら知り合うのも道理だ。
それだけじゃなく知り合いから親友になったことを俺は誇りに思う。
惚れた女の弟だからじゃない。遥自身が豪快なほどの魅力を持った男だからだ。

「おまえホントおもしろい男だよな。」
「そうだろうそうだろう!
 その俺と親友やれるおまえもおもしろいぞ!」
「逢ったの久しぶりだけど?」
「時間や距離なんか関係あるかよ!
 どんだけ逢わなくても俺らの関係は変らねぇよ!だろ?」
「なんで俺、遥の親友やってるんだろう・・・?」
「おい待て臣!それは絶望の意味じゃねぇよな?」
「違うよ。
 遥ならもっといい親友作れんのにって意味。」
「なんだそれ?
 俺らいいコンビじゃねぇか。」
「凸凹コンビって意味なら、まあ、解るよ。」
「デコボコ~?
 おまえも背高いじゃねぇか!
 俺ほどじゃねぇけどな!
 これからもまだまだ伸びるぜ!」

背の話はしてないんだけどね。
実の所俺は親友だ友情だ言うのはこっぱずかしいと思ってた。
いつもクールでいたかったしいつもクレバーでいたかったら
そんな言葉を死んでも口にするものかってバカにしてた。
なのに遥が俺を親友親友言いまくるもんだから慣れてしまった。
こんなに豪快な男が俺を親友なんて言ってるのがかっこよかったから。

「親友だって言うんならそろそろ逢わせてよ
 キミの大事なモノに?」
「う・・・」

遥の大事なもの。
出逢ったのはいつだって言ってたっけ?
ああ、そうだ、エレメンタリーの夏休みだったっけ?
親戚だか親の知り合いだとかでしばらく家に預かったって言ってた。
5つ下の弟というより妹みたいに可愛い子だって興奮して言ってたな。
外見もさながら中身がすっごいキレイで可愛くて仕方のない子供、そう言ってた。
「離れるのが寂しすぎて駆け落ち未遂したんだぜ?」遥のくせに寂しそうにそう言ってた。
「どっか遠くでずっと二人で暮らすんだって本気で思ったんだ。」そう続けてちょっと笑った。

この話を忘れなかったのはその時に遥の繊細さに気付いた気がしたのもあったけれど
いちばんの理由はこの話には信じられないような続きがあったからだ。
冗談でもこんな続きなんか思いつかない現実。

その夏から幾度かの季節か巡った。
クラスが違ったりしたけどずっと親友やってた。
その日のその言葉はあまりにも唐突に告げられた。
「俺、もうすぐ死ぬんだ。」
聞き間違いかと思うような親友からの酷い告白。
「は?ふざけてんのかよ?笑えねぇ。」
「笑えねぇよな。しゃれにもなんねぇ。」
「マジかよ?」
「残念ながら大マジだ。」
「なんでそんなことになったんだよ。」
「知らねぇ。けど、実は随分前から知ってた。」
「いつから?」
「4、5年ほど前かな。
 医者が親に言ってるの聞いちゃってさ。」
「で、なんで今、俺に言うの?
 まさか余命数日とか言うなよ。
 さっきまでバスケで暴れまわってたヤツが。」
「言わねぇよ。
 なんかさ俺、15には死ぬらしいんだけど
 もうちっと引き伸ばすために日本に行くんだ。」
「はあ?」
「だから、親友にはお別れ言っとこうと思って。」
「今生の別れを言ってんなら殴るぞ。」
「まさか、俺は諦めんのも負けんのも嫌いなんだよ。
 治して戻ってくるっつーしばしの別れだ。」
嘘だ、と思った。
半分は嘘で半分は希望だ。
「解ってんよ。」
「見舞いとか来るなよ。」
「わざわざ海渡って行くかよ。
 俺は飛行機恐怖症なんだ。」
「そうだったな。」
弱ってる自分を親友に見られたくないおまえに
わざわざ逢いに行くなんてことはしねぇよ。
「さっさとそんなもん打ち負かして来い。」
「ああ。」
遥が日本で出逢うやつは初めから病人の遥だけ知ってればいい。
変に肩肘張らずに無駄に悪目立ちせずに治療に専念できればいい。
そう思って送り出したのにそこであの夏の子供に出逢っちゃうんだから現実は解らない。

「臣・・・俺どうしよう。マジで挫けそう。」
日本に行ってから1年後。
泣き言なんか一切言わない遥が
今まで一度も連絡してこなかったくせに
ほんとうに弱った口調で電話を掛けてきた。
よりによって守りたいと思う子供に弱った姿を見せるなんて。
でもそれだけじゃなかったみたいで「挫ければ?」と思ったからそう言った。
「我が侭を一切言わなかった大事な子が
 弱った遥の前に現れて遥のためだけに
 家族もなんもかも放ってそばにいたいって言うんなら
 挫けて、甘えるのも、逃げじゃないだろ?嬉しかったんだろ?」
「嬉しかった。」
遥は嬉しそうにちいさな声でそう告げて
「嬉しかったんだ。ありがとう親友。」と笑った。
こうして数年前の駆け落ち未遂はこんな状態で不覚にも実を結んだことになる。

あれからさらに数年。
「あいつが来てから、
 あいつと生活始めてから、
 どんどん回復に向かっちゃって気付けば俺、退院しちゃったんだけど?」
豪快さに2倍も3倍も輪をかけて壮大なオーラを纏った親友、遥は俺の前に現れた。
気付けば宣告された15の歳を2つも超えてた。
「お帰り親友。
 また親友ごっこやるか?」
「やるよ。
 けどずっとこっちには住まねぇんだ。
 これからも白雨と一緒に暮らしてぇから。」
「白雨って例の・・・」
「俺の宝だ!」
相変わらず豪快に笑った遥はやっぱり遥だった。
「完治したらしたでさ
 日本で白雨と暮らすってのに条件いろいろ出されちまってよ
 頻繁にコッチには来ることになりそうだ。そんときはよろしく親友!」
「おまえと親友やってくならそれくらいの頻度がいいのかもしんねーな。」
「そんかわりコッチにいるときは
 思う存分振り回してやるからな!」
「いやな決意だなぁ。
 ほどほどにしといてよ。」
 
その頻繁の帰国(遥にとってはどっちが帰国なんだか)によって
この夏、サマースクールの手伝いに戻って来た遥と今、逢っている。

頭脳明晰、文武両道、容姿端麗
それでいて人に好かれるオーラのでかい豪快な男は
俺が感傷に浸っている間に目の先でやっているフットボールゲームの和に加わり
プロフットボール選手並のトリッキーなプレイとフィニッシュで豪快なゴールを決めていた。

どこまでも派手な男だ。
死神も蘇生の神も彼に魅かれるのも道理だ。
そう思って眺めていたら同じような視線で同じ男を追う瞳を見つけた。
消え入りそうなほど儚くも、目映いまでの清らかな魂。存在。横顔。

恥ずかしいほどおかしな、詩的な単語が浮かんできて頭を振る。
ばかばかしい。
ばかばかしいけれど否定はしない。
遥の言った「白雨」の印象が浮かんでは納得する。
誰に教えられたわけでも、一度でも逢ったわけでもない。
これは勘だ。勘であると同時に確信でもあると心臓が言う。

あいつが白雨だ。
俺には好きな女がいる。
好き過ぎて好きなのか嫌いなのか解らない。
俺はたぶんこの女が世界でいちばん憎くて愛しい。

だってその女は俺のことを嫌いなのだ。
こんなに好きな相手に嫌われなくてもいいじゃないか、と思う。
こんなに好きな相手だからこそ嫌われているくらいがちょうどいい、とも思う。

別にどうなりたいわけではない。
恋人になったら俺はどん引くだろう。
言ってることがむちゃくちゃだがそれは変らない。

熱心なキリスト信者がマリアを抱きたいと思わないのと同じことだ。

崇高すぎて手を出したいなんて思わない。
俺は穢れた存在だからそんな俺が触れれば穢れる。
この世でたったひとつの美しい崇拝物を穢すようなら世界そのものが滅びる。
それが俺の世界観で彼女を想い続けるたったひとつの信念であり崇拝である。

ただ、嫌われていることは知っている。
悲しいようで少し安心もしている。
俺のような人間を認めない人。
俺の存在を忌み嫌う人。
彼女には相応しい。

好きだと思えば思うほど嫌われる行動を取るのは
嫌われてでも彼女の心のどこかに引っかかる存在でありたいと願っているからだ。

ああ、不毛な想いだ。
ああ、ぬるい想いだ。
彼女の弟である親友は俺がそう言うと
「あんなん、どこにでもいる女じゃねぇか。」
と笑う。
血のつながりは瞳を濁らせるようだ。
この親友はあまりに正しく美しく清らかで豪快な人間だ。
本気になったらどんな人間だって魅かれずにいられないだろう。
だから、この完璧なふたりに血のつながりという壁があってよかった。
そう言うと、
「なくても俺はあいつに惚れることはねぇよ。」
と笑った。
「だって俺はもうなにより大事なもんに出逢っちまったし。」
と笑ってから、
「今までおまえの言うこと意味解んなかったんだけど、
 そう言うもんに出逢って手に入れちまったら少し解った。」
そう真面目に言った。

手に入れたって言いやがったよこいつ。
そんなら俺の気持ちなんて微塵も解んねぇよ、ばぁか。


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白い月代(受?)と黒い月代(攻?)




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