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「ラケット持ってきました。
 って、あれ?上杉?」
倉庫を開いて中に収めやすいように整理をしていたら
夕焼けを背負った月代が入り口から顔を覗かせた。
「月代?」
「うん。ラケット持ってくように佐原が。
 これどこに収めればいい?」
「あ、こっち、ここに。」
ラケットを収める月代の背を見る。
佐原が月代をここに寄こしてくれたのか。
「んで、サッカーボールのカゴって・・・これか。
 これ持って来てって重くないけどでかいなあ。」
「あ、俺が、」
「ありがとう。んじゃそっち持ってくれる?」
「ああ。」
月代とサッカーカゴの両脇を持ち合いながら倉庫を出る。
入れ替わりに次々と他のクラスメイト達が球技器具を持ち運ぶ。
「テニス残念だったね。
 上杉は全勝だったのにな。」
「当たった相手がよかったんだ。
 五条があたったのは部こそ入っていない経験者だった。」
「そっか。
 でも負けなしだったんだ、すごいよ。」
うへへ。と夕焼け色の笑顔。
「月代たちの方がすごい。優勝おめでとう。」
「おう!サンキュ。
 あれは楽しかったよ。」
「だろうな。すごく楽しそうだった。
 それから、サッカーもすごかった。」
「ああ、代役の。
 磯山たいしたことなくてよかったな。」
「ああ。よかった。」
しばらく無言で歩く。
月代が鼻歌なんか歌っているから気まずさはない。
今日大活躍だった月代が隣に居て並んで歩いている。
佐原にも打ち明けてそうしたらこうした状況が生まれた。
ダメなのはもとより承知の恋でも動作を起こせば何かが変る?
「月代、」
「ん~?」
「明日の図書委員、付き合ってもいいか?」
「え?手伝ってくれんの?」
「ああ。その、邪魔でなければ。」
「なんでだよ。大歓迎。
 でも学年委員の仕事はいいの?
 つか、ないならないでたまには休んだ方がよくない?」
「・・・だめか?」
「や、俺は大歓迎だって。
 まあ図書委員つっても明日もどうせたいしてやることないし
 上杉がいいならおいでよ。」
「うん。」
「なんか上杉、」
「なんだ?」
「おもしろい。」
にひっと悪戯な顔で笑った。
面白味のない人間という自覚がある俺に向かって笑った。

片づけを終えて着替えた生徒が帰りだす。
月代は寮にある水品と生田の部屋に行くらしく
彼らと肩を並べて破顔しながらずっと先を歩いている。
校舎のエントランスを出たら佐原が追いついてやって来た。
「佐原、」
「今日はご苦労だったな。お疲れさま。」
「佐原こそ、そのさっき・・・」
「必要だったからたまたまいたやつに声かけただけだ。」
「・・・そうか、ありがとう。」
「話しはできたか?」
「ああ。明日もできそうだ。」

ちょっと無理やりだった気もするけれど
月代が笑ってくれたから今はそれでいい。

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「どうも腑に落ちぬのだ。
 上杉が好きだと言うのを隠したい相手と言うのが。」
佐原は続ける。
「詮索はしないと言ったが、上杉を見ていて
 トクベツな視点で月代を観ているように見えた。」
さらに続ける。
「タイプの違う相手に憧れるというのはよくあることだが
 恋をしていて言いよどむ相手と言うなら同性の可能性が高いのではないかと。」

「月代ではないのか?」

ある程度の情報は伝えてあったとはいえ
そんなに簡単に解ってしまうものなのか。
佐原にはそういうふうに映ったということは
やはりどこかしら態度に出ていたのだろう。
しかし同性である相手を名指して怯まず聞いてくれたことにほっとする。

「ああ、月代だ。」
「やはりな。」
「驚かないのか?」
「驚いたさ。思い当たったときはな。」
「その・・心悪いと思わなかったか?」
「ああ、それは思わぬな。」
「どうして?」
「上杉の話に五条を重ねるのは上杉に申し訳ないが
 五条は生田を好いておるからな。あいつのは性質が悪いが。」
「五条が生田を?」
「あいつは好きだと言いながら苛めたがるのだ。
 セクハラなん可愛いものではないぞ。
 生田にその気はないと言うか、本気にしていないから
 冗談だと思って相手しているが状況が状況なら危ない。」
「そ・・うなのか?」
「五条もどこまで本気なのか解らぬから余計危ない。
 上杉は月代になにかしたいのか?」
「え?俺は・・・なにも・・・否、
 もっと知りたい。話がしたい、な。」
「小さい望みだな。
 それはほんとうに恋なのか?」
「こんなふうにひとりの人間が気になるのは初めてなんだ。」
「そうか。
 男子ばかりの偏狭な環境で陥る錯覚でもなさそうだな。
 なにせ上杉は異性に不自由しているようにも見えない。」
「たぶん俺は異性とか同性とか関係なく月代が・・・」
「好きなのだな。
 上杉が月代をな・・・不思議なものだ。
 月代と言えば此花さんもそんなことを言っていたな。」
「此花さんが?」
「ところ構わず言っているから挨拶の如く慣れてしまったが
 どこまで本気なのか。」
「そうか。」
そういえばそんなことを言っていた気がする。
月代のいなし方が柔らかく自然だったから気にしていなかった。
「俺はホモフォビアではないから
 別に毛嫌いもしないし恋愛は自由だと思うぞ。
 ただ、上杉のような恋愛に不自由しないタイプが
 わざわざ同性の月代じゃなくてもいいものをとは思うが。」
「佐原、」
「言い過ぎたならすまん。
 それでも俺は変らんと言いたかったのだ。
 どこまで助言できるか解らんが相談はのるぞ。」
「ああ、ありがとう。
 我ながら妙な感情を抱いているとは思う。
 邪険にされなくてよかった。ありがとう佐原。」
「俺が誰かをそのように好きになった時には相談させてもらう。」
「ああ、勿論。」
「なあ、上杉。
 月代のどこが好きになったのだ?」
「どこといえばいいんだろうな。」
「成績、とか運動神経、とかではないのだろう?」
「それも含めて月代だからなんともいえないが
 それがなくてもたぶん惹かれたんだろうと思う。
 なんだろうな。
 振り向き様に笑った顔も応援の後のかすれた声も
 いちいち目を奪われるし好きなんだ。」
「そうか。
 もっと話せるといいな。」
「ああ。」

ああ。そうだな。そうだといいな。
「そろそろ球技大会の片付けの準備に掛かろうか。」
「ああ、そうだな。」
「先に鍵をとって倉庫のドアを開けておいてくれるか。
 俺はクラスの者へ指示を出してから行く。」
「ああ、頼む。」
佐原は大人だなと思う。
それに気の回るし頼りになる。
佐原が月代を好きになったらどんなふうにするんだろう。
バカなことを。とありもしない妄想を打ち消すように頭を振る。
 

球技大会の結果はまずまずだった。
テニスは3回戦で負けてしまったけれど
そのときの応援席には月代達がいて盛大な拍手をくれた。
「全試合応援して観てました。」と女子にタオルを渡された。
サッカーでの月代に渡せなかった女子を少しだけ思い出した。

サッカーは次の試合で負けてしまったらしく
観ていたらしい生徒会の面々が噂をしていた。
「どうして後半から活躍した彼がいなかったの?」
月代のことを言っているのだろう「彼は代役をだったらしいよ。」と対戦したらしい者が答えると
「でもサッカー部じゃないんでしょ?なんでサッカー選ばなかったんだろう」それでも彼女は首を傾げていた。

なんのことはない。
彼らは仲がいいからだ。
水品にあえて振り回されているような月代。
水品は月代にとってトクベツのような気がする。

その彼らの出場した野球は、優勝していた。
だから総合優勝は逃したものの優勝旗は1つ取れたことになる。

俺も観ていた。
「うむうむ万能だな。」
佐原が眼鏡を指の腹でくっと上げながら言った。
「ああ。」
ピッチャーは自由交代なのでピンチになると
月代や水品が代わって投げてしのいでいた。
月代は速いストレートとカーブ。
水品はもっと速いストレート。
月代は緩急をつけた丁寧で正確な球を投げる。
水品は速いがコントロールが定まり辛い。
メインの投手は生田で乱れのない安定した投球をしていたから
ピンチになってマウンドにあがるこの2人に相手チームは崩れていった。

「投げてよし、打ってよしだぞ。」
「ああ、すごい。」
月代の3塁打、水品のスーパーキャッチ、生田の正確なバントに盗塁。
他の面々も触発されてか終盤戦にはほどんど選手が塁を進めていた。

「苦手な競技があるのか聞いてみたいところだな。」
「あるだろうか?」
「月代に至ってはあれで首席とは恐れ入る。
 まあ、今は上杉の方が成績は上だがな。」
「たまたまだ。彼ならいつでも俺なんか抜ける。」
「ほう。意外と上杉は月代をかっているのだな。」
「佐原も水品も生田もそれぞれがすごいと思う。」
「これはこれは恐縮だ。
 ときに上杉、俺は思うのだが、」
「なんだ?」
「先日言っていた上杉の想い人は、
 月代ではないのか?」

背中にひとつ冷たい汗が流れた。



驚いた。
入学直後の運動測定で運動神経がいいのだろうとは
予想がついていたのだけれどこれほどまでとは思わなかった。

「マジかよ月代・・・」
「まぐれだろまぐれ!」
サッカー部の生田と水品が話している。
それもそのはずクラス対抗の球技大会。
部に入っているものは部とは別の種目を選ぶことになっている。
よって、水品と生田はサッカーではなく野球球技を選択していた。
月代は水品に強制的に野球に引き込まれたらしく野球だけだったはずなのだが、
負傷で交代となった磯山の代わりにサッカーにまで出場していた。これも水品の推薦らしい。

その月代がひとりで3点を決めているのだから
水品と生田のつぶやきも納得だ。

「うまいとは思ってたけどなぁ。」
「あいつとはいっつも同じチームやってるし、俺。
 やりやすいっつーか組みやすいとは思ってたけど。」
「なんで部活しないんだろう?」
「はっ!知らねぇよ!
 宝の持ち腐れっつってやったら
 豚に真珠だって返されたぜ!なんなんだよな!」
「あ~俺いますぐあん中入って月代とヤりたい・・・」
「同感!なんでサッカー部がサッカーやったらダメなんだよ!」
「運動部やってるクラスが有利になるからだよ。」
「知ってんよ!バカにすんな!そうじゃねぇよ!
 月代がサッカーで活躍してんのがムカつくんだよ!」
「なんでよ?つっきーかっこいいじゃん?
 同じクラスなんだぞ応援しろよ!」
「してんよ!くそ!キャーキャー煩ぇな!」
「ああ、女子が騒いでるのがくやしいのか。」
「悪いか!俺だってあれくらいなっ!」
「野球で目立てばいいじゃん。目立てるならね。」
「うっせ。そういう生田は目立てるんだろうな!」
「俺はどうか解らないけど悪目立ちしそうだよね水品は。」
「ふん!うらぁ!月代!右だ右!コースあんぞぉ!打てぇ!!!」

なんだかんだで彼らは仲がいい。
文句を言っている様でそれは賞賛で応援なのだ。
俺はサッカーのことはよく解らないけれど月代の動きが
圧倒的に目立つし隙もミスもなくひとり格が違うのが解る。
一度見入るとその動きから姿から目が離せないほどに眩しい。

授業形態はまだまだ男子校女子校の隔たりが残る学園も
大きなイベントでは合同に参加をし始めているため女子も当然いる。
なるほど。目立つ活躍を魅せ付ける月代に目を留めない者はいないだろう。
少し歩くと近くの女子が「あの人誰?なんて言うの?」とクラスメイトに尋ねていた。
俺は学年委員や生徒会によって合同イベントの運営に携わっているから女子との交流は多い。
だから目に付くのだろうしだからよく告白などを受けるけれど俺の何を好きだと言うのか解らない。
こういう月代を見たなら一目惚れをしたと月代が言われても納得が行くしそう言えるのを羨ましく思う。

「うわ!4点目入れやがった!」
「ははは、容赦ないね。
 つっきーすごいなーかっこいいなー。
 つっきー!がんばれー!もう一点!もう一点!」
「2組の守備がザルなんだよ!
 くっそ月代目立ちやがって!
 もーめだたなくていーっつーの!」
「はいはい。つっきーが遠い人になって行くのが寂しいんでしょ水品?」
そこに古泉も加わった。
「おー古泉、バスケどうだった?」
「ふん。煩ぇ古泉。勝ったのかよ?」
「まあ、負けました。」
「あら~残念。」
「ふん。だっせぇ!」
「俺、バスケ向いてないと思うんだけどなぁ。
 おお~つっきー頑張ってるね。すごい点差だわ。」
「古泉は背が高いからバスケってなっちゃうんだよ。
 俺も背欲しいよ。サッカーも長身のが絶対有利だし。」
「あの4点全部あの月代が入れたんだぜ!どうよ!」
「なんで水品が得意になってんのよ。
 でも、そうなんだすごいねつっきー。かっこいいわ。」
「だよな!だよな!かっこいいよ!」
「ふん。俺が出てりゃ10点はいってるぜ!」
「つっきーと組んで、でしょ。」
「俺も入れろよ。」
「なんでサッカー部がサッカー選んじゃいけねぇんだ・・・」
「言うと思った。」
「さっきも言ってたよ。」
「煩ぇ。あっ・・・」

試合が終わったのだろう。
終了の笛が鳴った瞬間に水品がグラウンドへ向かって走り出した。
相手チームと挨拶しているのにも構わず月代へ飛びついて顔を掌でぐりぐりしている。
よく見るとスポーツタオルを手に近寄ってもじもじと月代を見ている女子の姿が目に入る。
しかし水品の勢いに押されてか賑やかに引き上げていく月代に渡すタイミングを逃していた。

少し、ほっとした。
たちまち、そんな自分に嫌気がさした。

試合結果を書き込んだバインダーを手に集計所へ向かう。
ちょうどバスケを担当していた佐原がやはりバインダーを手に現れた。
「バスケは負けだった。惜しかったがな。」
「そうか。サッカーは勝ちだった。」
「ああ、女子が騒いでいたから存じている。
 なんでも月代が大活躍だったそうだが、
 月代はサッカーだったか?」
「否、怪我人が出て代わりに月代が入った。
 入ったというより水品に無理やりグラウンドへ入れられていたな。」
「そうか。あいつららしいな。
 それで、怪我人の具合は?」
「ああ。接触で磯山の鼻血が止まらなかったらしい。
 もう大丈夫そうだ。」
「大事に至らなくてなによりだな。」
「ああ。」
「次は・・・野球か。
 その後すぐサッカーか。月代も大変だな。
 ああ、でも次は鼻血の磯山は出場可能か。」
「だと思う。」
「上杉はテニスだったか?試合はいつだ?
 俺はバスケで負けてきたからもう出番はない。
 引き継げる仕事があるようなら引き受けるぞ。」
「ああ、俺はこの後に行く。フルじゃないからすぐ終わるだろう。」
「そうか、では俺は気楽に野球の応援に行って来るよ。」
「ああ。」
もうすぐ始まるテニスのコートへ向かう。
クラスから3名ずつの競技なので応援に来るものは少ないだろう。
着替えてコートで相手チームを礼をかわしていたら応援席に月代達がいた。
野球は?と思って時計を見たら、気付いたらしい月代が口パクで何か言っていた。

ま、え、の、し、あ、い、が、え、ん、ちょー、

ああ。
それにしてもいつ終わるかも解らないのにこんなところにいてもいいのだろうか。
そう思ったけれど団体競技でないひとりでコートに立つ競技に応援があるのは嬉しい。
見れば女子が多いのかギャラリーは賑やかで俺を応援する声まで聞こえて来た。

なんとなくテニスは剣道に似ている気がして選んだ。
剣道は長年やっている見に染み付いた武術で、
相手の隙を付くスポーツであるテニスがいいと思った。
油断なく緊張を持って緩急を加えながら狙いを一気に突く。
うん。似ている。

そこそこの健闘はできただろう。

チェンジコートのタイミングで迎えが来たらしく
「うーえーすーぎーふぁいおー!」
と月代が口に手でメガホンを作って笑った。
生田は次の出番の五条にやはり応援らしき言葉を掛けていた。

「ああ。」
見てて欲しいと思ったし
観にいきたいと思ったけれど
まだ決勝までは何戦かあるのだ。
そこまで一緒に勝ち進めるよう力を尽くそう。

「佐原は特定の誰かと付き合ったことはあるか?」
放課後クラスの案件のまとめで2人きりになった教室で
ここぞとばかりに聞いてみた。
「へえ、上杉がそういう話振ってくるとは思わなかったぞ。
 特定の誰かってつまり恋愛で交際したことがあるかってことか?」
「ああ。ぶしつけな質問ですまない。
 答えたくなければ答えなくていい。」
「別に構わんよ。
 恋愛だかどうだか中学卒業までは交際していたぞ。」
「そうか。
 恋愛かどうか解らないのか?」
「そうだな。
 向こうから好きだと言われた。
 俺は彼女が好きと言うより交際することに興味があって付き合った。
 だからなのか口付けても世間が言うほどときめいたりせんかったな。
 むしろ今思い出すのは素朴だけどどこか魅かれた女教師のほうだな。」
「教師・・・慕っていたのか?」
「今思えば・・・教師として慕うというより女性として恋していたのかもしれぬな。」
「恋して?」
「恋と気付かぬままどうにもならずに離れてしまったから
 より鮮明に記憶として残るのだろう。」
「逢いたいと思うか?」
「いまさら思わぬな。
 美しいまま記憶に残しておきたい。」
「そんなものなのだろうか。」
「いまさら逢ってもどうにもならぬだろうという前提があるからな。
 この夏結婚したらしい。」
「そうか。」
「心から祝福できるほどに距離があってよかったと思う。」
「そうだな。」
「で?そんな話を持ちかけたと言うことは
 上杉自身今まさに誰かに恋でにもおちたのか?」
「俺?」
「ああ。
 言い寄られて断るのは慣れておるのだろう?
 だとしたら本人自身のことだと推測したが違ったか?」
「違・・・わない。
 不思議なんだ。
 気になってしかたないし、
 優しくされると勘違いしたくなる。
 これは恋なのか?」
「独占したいと感じるなら恋なのかもしれぬな。」
「独占・・・相手の負担になるようなことはしたくないけれど
 そうだな・・・・相手の特別になりたいと思う。いちばんじゃなくても。」
「いちばんじゃなくていいのか?」
「そう思うのがおこがましく感じる相手なんだ。」
「それはそれは。
 上杉にそういうことを言わせる人物に興味がある、が
 詮索はしないでおこう。しかし上杉がな。少し驚いたぞ。」
「ああ。俺も驚いている。」
「それで?上杉はどうしたいんだ?
 付き合いたいのか?告白するのか?」
「まさか、それすら・・」
「おこがましい、か。」
「ああ。」
「相手は上杉の気持ちを知らぬのだな?」
「ああ。
 知られたら俺は冷静でいられる自信がない。」
「よくもそこまで想うたものだ。
 上杉の気の回しすぎで実は両想いというのもあるのじゃないか?」
「まさか。」
そんなことは地球がひっくりかえってもないだろうと少し笑う。
「俺は上杉に好かれて断る女などよほどの変わり者か天邪鬼だと思うがな。」
女なら、か。
その差はどこから来るのか。
性別の壁はとても高いのだ。
「上杉・・・」
「あ、すまない。」
「否。構わぬ。
 これで終わったぞ。
 まあこのまま恋愛話を続けても構わんが。」
「これ以上はきっと同じことだからここまででいい。
 なんとなく聞いてみたかったんだが聞ける相手もなくて。
 こんなつまらない戯言に付き合ってくれてありがとう佐原。」
「否。上杉、」
「なんだ?」
「本気で好きで悩んでいるならそれは、戯言とは言わぬよ。」
「そうだな。」
「いつでもまた相談にのるぞ。」
「ありがとう。」
同じクラスの月代だと知ってものってくれるだろうか?
同性のオトコを好きだと知っても軽蔑しないでくれるだろうか?
俺の恋愛は、好きになった相手は、好きになってはいけない相手だったのだろうか?

******


佐原の口調・・・(笑)

 



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